序章
とあるお城。煌びやかさとは程遠く、壁や床はひび割れ、今にも崩れそうだ。
そんな廃城の玉座に、男が一人座っていた。
頭には立派な角が生えており、瞳は血のように赤い。
その瞳の奥には憂いのようなものが感じ取れた。
男はそっと口を開く。
『……なぜ、我々を殺す』
『それは、お前が魔王だからだ』
そう答えたのは、魔王と呼ばれる男の前で剣をかざす一人の少女だった。
握りしめた剣を魔王に向け、高々と声を上げる。
『魔族は一匹残らず殲滅する! それが私の生きる意味だからッ!!』
勢いのままに少女は魔王に向かって剣を振り下ろす。
だが、少女の剣は魔王ではなく、玉座を一刀両断していた。
『私の剣を躱すとは、さすが魔王と言ったところか……』
少女の剣を目にも止まらぬ速さで躱し、少女の背後に回る魔王。
そんな尋常ではない動きを見せる魔王を前にしても、臆することはない少女。
それどころか、不敵な笑みを浮かべ剣を構える。
『ならば、こいつは避けられるか――魔王ッ!!』
構えた剣を振り下ろすと、凄まじい光の衝撃波が魔王を襲う。
『……くっ!』
光の衝撃波は魔王を呑み込み、廃城を半壊させる。
その光景を静かに見守る少女。やがて――
『ふっ、他愛もないな……魔王』
衝撃波が収まると、そこには地に伏せた魔王の姿があった。
少女はその姿を満足そうに眺めると、ゆっくり魔王に歩み寄る。
『さあ、この世界で最後の魔族が消える瞬間だ』
剣を振り上げ、魔王の首に剣を振り下ろす。
キンッ! と乾いた音が廃城に鳴り響いた。
『ば――バカなッ!!』
振り下ろされた剣の先――魔王の姿はなかった。
慌てた様子の少女は辺りを見回し、魔王を探す。
『魔王は何処だ! 何処に消えた!』
消えた魔王が現れることはない。
少女は理解していた。これがどういうことなのか。
だがその事実が、抑えきれない少女の怒りを増長させていく。
そして――
『……ま……ぉう…………まおう……マオウ! マオウ!! マオォウ! マオォウ!! マオォォォォォウ!!!!!!』
天に向かって吠えるのだ。
魔族を殲滅するその日まで。
少女は世界の希望――――勇者なのだから。
序章は真面目に書きました。
第一章からはおふざけ全開で書きます。
拙い文章ですが、よろしくお願い致します。




