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3-25 森に帰れ

 尾張の国への遠征。

 得たものは多いけど、その為に必要な労力は予想以上。

 ぶっちゃけてしまえば、数ヶ月間は引きこもりたいと思えるほど尾張の国での出来事は大変だった。


 それこそ美濃の国で遭ったイザコザよりもよほど大変だ。

 権力者と結び付いたヒャッハーさんはゴキブリよりも鬱陶しい。

 今後を考えるとこっそりヒャッハーさんを駆除すべく、「モヒ・即・斬」のゲリラ戦でもしかけたくなる。


 しかし、それをすると現地住民が困ることになるだろう。

 堀井組がどれぐらい腐敗しているかは分からないが、あれでも一応は自警団である。みかじめ料さえ払っていれば民衆を守る側の人間なんだ。

 土地に根差したものであるのなら、俺と敵対したからと言って排除するのはやり過ぎだろう。


 やると決めるのは、尾張の国そのものが敵に回ったと思った時ぐらいだな。





 今回の遠征で得たものは、主に海関連と人間のカード。


 海水と魚、ついでに塩。

 メイジ、アサシン、フリーマン、サモナーがそれぞれ1枚と、スレイブ多数。

 オマケは船だな。


 主なカード関連の収入はそんなところだ。



 毒入り夕餉とか、細かいのはカウントしてない。割とどうでもいいし。

 いや、あの毒だけ抽出できれば、それはそれで使い道があるかな?


 その辺は、そのうち試すとしよう。

 猪相手には使いたくないし、使う機会があるかは知らんけどね。手札は多い方が楽しい。


                                          

 それよりも、手に入れた『ヒューマン・スレイブ』のカード。

 そのほとんどが元モヒカンなので、どんなふうに使っても心が痛まないこのカード。

 単発で使えばすぐに使用上限に引っ掛かるのでまとめてしまいたい。


「いや。その前に、俺たちに仕事を割り振ってほしいのだが?」


 俺が家で一人で思案していると、筋肉質で大柄な男が一人、傍に寄ってきた。

 彼は投降して俺の軍門に下ったフリーマンの生き残りだ。


 彼らには名前は無かったようなので、『(つい)』『(あらた)』『(けい)』『(ごう)』と名付けた。

 リーダーは『終』で、一番厳つい大男。

 彼らは同じ召喚術士に召喚されたわけだが、ちゃんと姿や性格に個性があり、個人を識別できる。

 で、一番リーダー向きで俺に投降を求めた終がリーダーとして動いてもらっているわけだ。



「蕎麦の収穫は終わったし、次の種も蒔いた。

 しかし、いいのか? 普通は収穫が終わった直後の畑を休ませるものだろう?」

「あの蕎麦は特別性だから大丈夫」


 なお、彼らはあの召喚術士が嫌いだった模様。

 フリーマンとか言われていたのに召喚モンスターとして縛られていたことで、ずいぶんストレスを溜めていた。

 今は解放されてスッキリしている、と思いたい。


 ……俺は夏鈴たちに嫌われていないよな?



 彼らに任せているのは、基本的に農作業だ。

 元が『バトル・フリーマン』らしいので戦わなくてもいいようにしたわけだ。もしくは、大地や天候と戦えって話。

 いざって時は剣と鎧を召喚して瞬時に装備できるらしいので、かなり強いんだけどね、戦う相手もいないし。野生動物や野良ゴブリンぐらいなら既存の戦力で問題無いし。俺が召喚できないって理由もあるけど、新規戦力は要らないんだよね。





 帰ってくれば俺は指揮官と言うか指導者と言うか、俺の指示を待ってるゴブリンやゴブニュートが大勢いる立場なわけだ。あんまりグータラはできない。

 それでも、誰かと争うような事をしなくていいし、平穏な日々に戻ってきた感じはする。


 神戸町との縁を切るのは勿体ないのでそっちには顔を出すけど、基本は引きこもりでいいかな。

 遠征とか考えるとロクな事にならないだろうし、森で一人生きていく方が楽だ。

 たぶん、俺は人間社会にはなじめない性格なんだよ。

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