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3-18 騒いでみた結果

 毒の効果がどんなものか調べるため、使ってみました『ヒューマン・スレイブ』。

 元チンピラモヒカンだったからか、何のためらいもなく酷い事ができました。

 毒入りのお魚を、はらわた部分だけ口に入れてみた。


 結果、口から血を吐いて死んだけど。


 口からする臭いが血の鉄さび臭だけじゃなくて、胃液の酸っぱい臭いが強い事を考えると、これ、胃に穴が開いたっポイね。

 推測でしかないけど、胃酸に反応して胃壁を溶かすようになるとか、そんな感じ。


 素人の推測にしてはいい線行っているんじゃないかな?



 毒の部分だけ無くなった夕餉に関しては、もう一回カード化して回収しておいた。

 毒がなくなったので、あとでスタッフ()が美味しくいただくよ。





 川魚のはらわた部分に仕込んだ毒だから、食べてなくても不自然ではない。はらわた部分を残すぐらい、よくある事だよね。

 俺だけが生き残り、三人娘が死んだ事にして、俺は「みんなが口から血を吐いた」と言ってパニックを起こしているふりをした。


 引っ掛かったふりをした方が、相手、毒を仕込んだ奴が面白い行動に出ると思ったからだ。



 俺の声に反応し、宿の主人が慌ててやってきた。

 50歳ぐらいで恰幅のいいおじさんだが、頭の毛に関してはこの世界にあるかどうかも分からないバーコードという、幸薄そうなおじさんだ。


「創さん、落ち着いてください。ゆっくり息を吐いて、吸って。まず、何があったか教えてください」


 宿の主人はこちらを落ち着けようと、肩を抱き、深呼吸するように言う。

 宿で人死にが出たとなれば彼も無事では済まないだろう。ちょっとだけ警戒をしておく。



 俺は言われた通り深呼吸をして、ようやく落ち着いた、という事にする。


「さっきまでみんなでご飯を食べていて……。

 食べ終わってちょっと経った後の事です。そろそろ膳を下げてもらおうと思ったら、急にみんなが苦しみだして……。

 その、口から、血を、吐き出して!」

「落ち着いて!」

「薬、薬か何か無いんですか! 早く助けてあげないと!」


 俺はゆっくり説明し、肝心な部分でまた興奮しだすといった演出をする。

 急いで外に出て医者を探さなければと、玄関に向けて動き出そうとした。「助けを呼びに」だね。騒ぎが大きくなるけど、それがパニック中の行動としては分かりやすいかな?

 本当に食べたのなら、もう死んでいるのは間違いないけど。


 そうすると宿の主人が俺の右腕を左手で掴んで押さえ留めようとして。


 俺の腹に(・・・・)包丁を(・・・)突き立てた(・・・・・)



 警戒していたので、刺されはしなかったけどね。

 この男、躊躇なく俺を殺しに来たよ。

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