3-14 マンハント③/狩場の移動
レアカード、『ヒューマン・メイジ』が2枚手に入った。
ある程度考えればわかることだ。
こっちに魔法使いがいて、それもかなりの腕であること。
そんな連中に普通のチンピラをぶつけても消耗が大きいだけで、効率が悪い。
ならば確実に殺すためにそこそこ以上の戦力、実戦レベルの魔法使いを投入するはずだと。
まぁ、毒の煙にやられてあっさり死んだけど。
このレベルの魔法使いは千人に1人ぐらいは居るという話なので、大規模なヤクザであれば何人か所属していても不思議じゃない。
戦闘系のヤクザであれば、組織内に10人20人いたとしても不思議じゃない。
戦闘以外でも、火がつけられるとか、水が出せるとか。そのレベルで魔法を使えるようにしていることだろう。
魔法が使えるかどうかって、生活にかなり大きな影響を与えるからね。覚えられそうな奴はかなり仕込まれるはずだ。
特に、ヤクザとかって上下関係が厳しいだろうから、成り上がるために必死になると思うし。
だって、髪形をモヒカンで統一するぐらいだもんなぁ。
俺がチンピラなら、脱モヒカンのために死に物狂いで頑張る自信がある。
奴らはモヒカンを見慣れすぎて気にしない可能性もあるが。
どうでもいいが、チンピラどもは全員『ヒューマン・スレイブ』である。
こいつらなら多少いじり倒したところで心が痛まないし、そのうち人体改造のごとき実験もしてみよう。
人間が進化したら、何になるんだろうね。
ニューマンかな?
50人からなるチンピラ集団と魔法使いを殺したことで、俺の脅威度はかなり高まったことだと思う。
戦場を整えるなど準備をしたとはいえ、戦力比およそ10倍を覆した俺たちが過小評価されることはありえない。
これで俺たちを侮るようであれば、ただのバカ集団でしかなく、それはそれでやりやすくなるけど。さすがにそんな甘い考えは持っていない。
罠に嵌めるのは今回限りのネタだろう。次は確実に警戒されていると思うよ。
だから、別の罠に嵌める。
マンハント第2弾は、美濃と尾張の緩衝地帯、川島町でやるよ。
あんまり行きたくないけどね。
そんなわけで、やって来ました川島町。
美濃と尾張の経済戦争最前線、ただし参加者は川島町住人だけという面倒な町。
距離と歴史、どちらを優先するべきか民主主義的に争う不思議空間。
いやもう、ただの旅人を都合のいい駒にしようとする厄介な商人の多い場所なんだよ。
泊まる宿一つとっても面倒事に巻き込まれそうな雰囲気だったから、野宿の方がマシだろうと前回は逃げたけどさ。
今回は、宿の皆様にも協力していただきつつ、精一杯おもてなしをするとしよう。
まぁ、協力と言ってもこちらの状況を説明して、相手に自分で勝手に利益を確保してもらうだけなんだが。
状況を動かすには、俺一人じゃパワーが足りないからね。
嫌だけど、手を借りれそうなところはここぐらいしか思いつかなかったから仕方がない。
上手くいくといいな。