3-9 目標完了
ゴタゴタはあったものの、何とか他の町に着いた。
そこで塩と魚を購入。生きた魚のモンスターカード化はできていないけど、海水も入手した。
これで海に来た理由の大半は達成できたと言って良い。
そしてやっぱり産地の塩は安い。卸値という奴みたいだ。
岐阜などの半値未満で、あの値段は輸送費がそれだけ上乗せされているんだと実感した。
現代日本だと輸送費って平均的に計上するからね。全国均一価格って、相応の交通手段が無いとできないんだなぁって実感したよ。
それに、ここに来る発端のような塩の輸送事故みたいな事もあるし。それだけ値上げしないとやってられないよね。
魚を捕まえるというのは、かなり難しい。
釣りをするにも釣り竿が無いし、俺は釣なんてしたことが無いので釣れるかどうかも不安だ。道具か経験のどちらかがあればいいんだけど、俺にはどちらもない。
加えて、船で魚を捕るというのは許可制だ。個人向けの釣り船など無い。
船に乗せてもらってこっそり回収、という手段も使えない。
そもそも、手持ちのお金が少ないので金銭でどうにかするという手段はとれなかった。
それに、一応だけどカード関係の能力はあんまり人に見せたくない。
これが命のかかった場面であれば躊躇わないけど、生きた魚を捕まえたり増やしたりするのは個人的な趣味の範疇だ。
こんなどうでもいい、優先順位の低い事に全力というのはどうかと思うんだ。
今回は、生きた魚は諦めよう。
次回はもっとお金を用意して、それで漁師さんに頼もう。
もしくは、カードの能力で何か魚を捕まえるための物を用意しよう。
生きていくには何らかの目標があった方が良いのは確かで、これはそんな人生のスパイスだと思っておこう。
……酸っぱいブドウでは、無い。これは楽しい事を長く続けるコツなのである。
そうと決まれば、撤収だ。
さっさと帰って、また神戸町でお金を稼ぐ。
それと、川でも魚は獲れるんだから、川で釣りとかのスキルを身につけよう。
出来ればお土産用の塩も買いたかったけど、大量の塩を輸送すればすごく目立つし運搬手段を疑われる。
何より、そんなお金はどこにも無い。名古屋で果物とか、買いすぎた……。
また金を売るのは馬鹿のする事だからね。楽な手段はきっとない。
基本、宝石類とかカードで作ったアイテムは売らないようにする。
高い物を売ればそれだけ注目されるだろうからね。悪い意味で。
いくつか将来の目標を胸に、俺は三人娘を連れて、岐阜への帰路に就くのだった。