表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/729

3-6 田舎者と名古屋

 美濃も尾張も、入国関係は割とザルだ。

 細かい審査はしないし、入国税を払えば身分証明に紙きれを1枚渡されて、それで終わり。


「商売しようってぇなら、もっと面倒だぞ。

 ただのパンピー相手に細かい審査なんてしてられるかっての」

「犯罪者が紛れ込んだらどうするんだ?」

「そいつが国を出るまでに何もできなかった連中が悪い。馬鹿をした奴がいるなら、その時はこっちも相応の態度を取るだけさ」


 手続きが楽なら、文句を言う事でもないだろう。

 俺たちは特に何か言われることも無く、名古屋にたどり着いた。





 こちらでは初めて訪れることになった名古屋の街。

 そこは今まで以上に賑やかで華やかな場所だった。


 まず、都市の規模が違う。

 大垣市や岐阜市、途中で立ち寄った一宮・清洲もかなり大きかったけど、この名古屋には敵わないだろう。

 人口何万人ではなく、何十万人いるんだろうね。そういうレベルだ。


 ここにはマンションビルやアパートといった集合住宅がいくつもあり、人口密度を高くしている。

 舗装された道路の上を多くの人が歩いているというのに、排せつ物の臭さが全く無い。おそらく下水道がしっかり整備されているのだろう。その処理場がどうなっているのかを考えるのは怖いが、街の部分が綺麗というのは、素直に凄いとしか言いようがない。

 一定以上の知識に基づいた都市計画でインフラが整えられ、ここまでに見てきた都市とは一線を画すと言っても過言ではない。


 なにより、街灯までしっかりと整備されているのには驚いた。何と、電灯があるのだ。どこかに発電所もあるかもしれない。

 これまで見てきた街にそんなものは無かった。ここまで文明的ではなかった。

 何と言うか、時代が一つ違う。



 ただ、国として見るとちょっと微妙な話である。


 ここまで通ってきた一宮や清州は、同じ尾張の国である。

 なのに、そっちは岐阜などと同じような文明度合。つまり名古屋ほど発展しておらず、ここにある文明の恩恵にあずかっていないわけだ。

 それは、国としてどうなのかと思ってしまう。


 首都が大事で国の顔なのは分かるが、これは他の地域が離反しかねない巨大な格差だ。個人的に、そういう考え方は好きではない。

 理解はできる。

 だが、共感はしないし好ましくない。



 俺は名古屋の街を見てこう考えた。


 さっさと他所に行こう。

 俺は愛知県の地理に詳しくないけど、海岸沿いに歩いていけば別の町があるだろう。

 ここに長居すると、息が詰まってしまいそうだ。


 人の多い、文明的な都市。

 現代には及ばないが、近代レベルの街並みは、俺を無機質な目で見ているように感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ