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3-3 準備/緊急時の移動手段

 テントの次に考えたのは、移動手段だ。特に、人から逃げる時の。

 飯関係や旅装についてはすでに有るので、できるだけいざって時の移動手段を優先して考えるべきだ。



「オーディン、トール、フレイ、ルー。おいで」


 俺は『草原大狼』の4匹を呼ぶ。

 緊急時の移動はこの子達の背中を借りるつもりだからだ。



『草原大狼』:モンスター:☆☆☆:中:10日

 草原に住む、体躯の大きい狼。俊敏にして獰猛、知恵もある。草原の支配者として君臨する事が多い。雑食だが大食漢でもある。



 草原大狼は『草原狼』の進化先の一つ。

 一番付き合いが長く体の大きな草原大狼『オーディン』は成人男性である俺を背に乗せられる程度に体が大きい。トール達だと夏鈴らならばともかく、俺は無理。

 そのあたりは個体差と言うより『強化』回数の差だね。

 フレーバーテキストにあるとおり、餌のお肉がたくさん要るけど、それに見合う性能があるので重宝している。


 ☆☆☆になった事で次の進化はまだだが、今後も色々と期待できる。



「そんなわけで、移動に手を貸して欲しい。

 当たり前だけど、1日中じゃない。1日のうち、長くても10分程度。乗った後はちゃんと普段よりも良い物を用意する」

「グルル……」


 オーディン達は頭が良い。

 こちらの言っている事を理解し結果を考えられるようになっている。


 進化する前だと、命令には従うけど、そこまで深く考えられるほどじゃなかったんだよね。それが、言われた事を理解して自分で色々と考えられるというわけだ。

 以前なら「分かった」と一言吠えて返すだけだったが、今では「それは難しい」「体が持たないからやりたくない」といったうなり声を上げている。

 うん、良い事だ。



 オーディンが嫌そうな顔をするのは当たり前である。

 以前、俺は拘置所に捉えられた時に、オーディンの背中に乗って移動したけど、移動を終えたオーディンはもう動きたく無いとばかりにへたばったんだよ。


 狼は騎乗動物としてはかなり微妙で、そもそも背中に誰かを乗せて走るなんて考えを持っていない。

 そういうのはもっと体が大きい生き物に求める事で、まだ狼から大狼に進化しただけのオーディン達では文字通り“荷が重い”。

 次の進化でもしない事には、俺を運びたくないというのは、真っ当な主張だ。少々のご褒美では素直に従えない。



 でもね、こっちも緊急時の移動に草原大狼が使えるかどうかっていうのは明暗を分けかねない話な訳で。「駄目」と言われて「はいそうですか」とはならないんだよ。

 俺は大狼たちを相手に、しばらく労使交渉をするのだった。

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