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カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
カードクリエイターのツリーグラフ
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-3

 冥界の移動は、心臓に悪い。


「今度は山か……」

「霧が出ています。ご注意を」


 敵は出てこない。

 しかし、景色がコロコロ変わる。

 先ほどまでは草地を歩いていたのだが、突然別の地形に姿を変えるのだ。

 300mも歩けば景色が変わるので、俺たちは先頭と後方で見ている景色が違ってい当たり前。そんな中を歩かねばならない。


 初めて景色の入れ替りを体験したときは、前列の奴らが足を止めてしまい、後続とぶつかる事故が起きてしまった。

 今は前後の距離を空けながら行軍しているのでいいのだが、それでも景色の切り替わりは、あまり嬉しくない。

 出てきた場所から戻れば元の場所に行けるけど、10mも横にずれれば別の場所に行ってしまう。帰りが大変すぎるのだ。



「これはどんな原理なんでしょうね?」

「たぶん、死者の持つ“死後の世界”のイメージを元に作られているんだろ。世界の狭さは住人の消滅が関係しているとか、そんな感じ。

 ただの想像だけどね」


 夏鈴は現在の状況を把握しないと戦術に影響が出るため、法則性などにいくつかの仮説を立てて、できるだけ理解をしようとしていた。

 俺はシャーマンの王様を決める漫画の中にあった設定にこの状況を当てはめ、だいたいのイメージを作り上げていた。

 そこまで難解ではないと思うよ。



 別の見方をすれば、冥界はネット社会とも例えられる。


 切り替わる世界はサイトのようなもので、特定のテーマを持つことで人を集めるようにしている。

 管理者が頑張ればサイトは大きくなるけど、来客、収益が見込めなければ縮小されていく。

 現状は誰も見向きもしないような状態かね。見事なまでに、生き物の気配がない。


 まぁ、こんな仮定にどこまで意味があるかは知らないけどね。

 そこは、夏鈴に任せよう。



 本当なら、出来れば、一度撤収したい。

 こういった特殊な環境は、時間をかけて対応するのがセオリーだ。


 けど、最初に女神様に「あっちを見てこい」的な対応をされたため、それも叶わない。

 進む方が、戻って神様の不興を買うよりましだからね。理不尽だが、現実なんてそんなものだ。


 ただ、「本当にこの方向でいいのか?」とは思っている。

 どの程度進んだ先に「大蛇と愚か者」が居るかは聞いていないので、一抹の不安が頭をよぎる。



 それでも指示に従い2時間近く歩くと、とうとう目的地らしき場所に辿り着いた。

 まるで肉の洞窟、そんな邪悪な雰囲気の世界だ。悍しい、脈打つピンクの光景に思わず吐き気が込み上げる。

 ゲームや映画では定番なんだけど、実際に自分の目で見ると、ひたすらに気持ち悪い。



「≪バーストストリーム≫」


 あまりの気持ち悪さではあったが、未知の環境のため、俺は確認のために一番強い魔法を試すことになった。

 いざというときの、道を作るための手段として使えるかどうかだったけど……こうやって作った道は、あんまり通りたくないよなぁ。

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