27-33 カードクリエイターのツリーグラフ
写真を並べると、かなりの量になった。
写真乾板はガラス板に溶液を塗って作るものなので、アルバムにすることはできない。そこは残念だと思う。
だけど写真館の壁一面に並べられた写真にも風情があり、これはこれでアリかな。そんなことを考えた。
全国各地というほど動き回っていないのに、俺に連れ回されたレコーダーは疲労困憊だった。
まだまだ鍛え方が足りないね。
感謝を込めて鍛えてあげよう、とは言わないでおく事にした。
壁一面の写真に触発された“熱”は、俺の中で少し形を変えた。
その熱意を形にするため、俺はバカみたいに大きな巻物へ筆を走らせ続けた。
「パソコンがほしくなるな。付箋を貼りたくなる」
世の中には、進化のツリーグラフというものがある。
生き物の進化、枝分かれしていくそれを、時間を横軸にして縦へと広げていったものだ。
幼い頃、理科の先生が見せてくれたのを覚えている。
実際に自分でやってみると、これがなかなか大変だ。
時間の代わりに☆を横軸にして書いているが、情報量の多さで手間がかかる。
それに、『進化』の先にはまだまだ可能性があり、横軸はいくらあっても足りないだろう。縦軸より横軸の方が長い。
巻物はある程度種別ごとに作っているが、それでも酷い量がある。特にゴブリン系。
正しくはゴブニュート系だけど。
ゴブリンはゴブニュートにしてばかりなので、そこまで進化させていないし。
「旦那様。そろそろ休憩してはいかがですか?」
「そうだね。コーヒーでも貰おうかな」
ツリーグラフを書いている途中、夏鈴がコーヒーを持ってきた。
コーヒーと言っているけど、正しくはタンポポコーヒーである。
普通のタンポポをそのまま使わず、『進化』させて、よりコーヒーに近くした『コーヒータンポポ』のタンポポコーヒーなのだ。……早口言葉か。
夏鈴は書いている最中のツリーグラフを見て、苦笑いをした。
「旦那様。さすがに横軸が短すぎではありませんか?
これでは縦に長すぎます」
「分かっているけど、止められない。
他の軸もないからね。しょうがないよ」
書きかけのツリーグラフにダメ出しをされた。
でも、今回はこのままで行く。
完璧ではない叩き台でも構わないから、まずはひとつ形にしたいのだ。
それはそれで、いい経験になる。
苦笑いをしていた夏鈴だが、ふと、その視線をある場所で固定させた。
『ゴブニュート・ストラテジスト』
夏鈴のところである。
「旦那様。いえ、創様。
ツリーグラフが進化の先を記録するものならば、その進化の先を求めることは、悪いことですか?」
夏鈴は☆4つのストラテジスト。
レベル的には限界まで強化され、進化を待つばかりである。ただ、姿が変わるだろうから、何年もそのままなのだ。
これは凛音なども同じである。
「黄泉比良坂の件もあります。
踏み留まるのは、そろそろ終わりにしても、いい頃合いと思いませんか?」
夏鈴の言葉に、俺は――