表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
カードクリエイターのツリーグラフ
710/729

27-32 カードクリエイターの軌跡④

「今、村にいない連中も撮るか」


 俺はふと、そんなことを思い立った。


 カードの利用枠には上限があり、平時には常時展開できる戦力は厳選している。いざという時に頼りにしていても、村にはいない仲間も多い。

 そんな彼らの写真がないのは不公平だろう。


 そこで俺は、訓練で召喚したタイミングに写真撮影の話を持ちかけた。



「それならば、戦闘中の写真等を撮っていただくことは――」

「あ、それは無理。動いている一瞬を切り取るのは、まだできないんだ。ブレてしまうから、キチンと整列したときがいいな」

「そうですか。残念です」


 訓練中の写真を欲しがられたが、そういった場面には、まだカメラが対応していない。

 フィルム撮影になっても、動いている被写体が相手では、カメラマンの腕によってはボケた写真しか撮れない。

 写真乾板の撮影では、まともに撮れないのは目に見えている。


 そうして俺は、残念そうにしていても、いざ撮ってしまえば写真が形になれば驚き喜ぶ軍のカードの皆を撮影させた。





 そうやって撮る対象を増やすと、さらに欲が出る。

 今度は、神戸町の人たちだ。

 あの人たちも、俺にとっては家族同然。写真に残しておきたい。



「へぇ。しゃしん、ねぇ。聞いたことはあるが、モノを見るのは初めてだ。

 創、本当に俺らもしゃしんにするのかい?」

「あらあら。綺麗に、しゃしんにしてくださいね」


「へぇ。アンティークなカメラですね。スマホがあれば……って、プリンターもなしに写真は残せませんよね」

「オジキ! 俺らもいいんすか!?」


 爺さんや、婆ちゃん。

 それだけではなく、ニノマエで働く人たち。水無瀬少年。

 こちらに出向中の、堀井組の若い衆。

 彼らの写真も残していく。





 ここまで来ると、更に更にと、足を伸ばす。

 尾張、三河、仙台。黒岩の里や篠島。出雲には行かなかったが、足跡を辿るように、写真を取りに行く。

 これまでの旅。やって来たこと。出会った人たち。

 記憶を掘り返すような、再会の旅。



 終わる頃には、随分な量の写真が手元に残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ