27-31 カードクリエイターの軌跡③
写真が壁に飾られる。
撮影は順調に進み、色褪せないようにと保護をされてから、皆で見られるようにしてある。
写真撮影の後、写真館はそれを飾る場に切り替えた。
次の撮影は、カメラと写真乾板の改良とか改善、そういうのができてからと伝えている。
村の皆は、飾られた写真を見ては、楽しそうに騒いでいた。
写真というものを初めて見たので、絵とは違う精巧な姿を前に、一喜一憂しているのだ。
「ああ、もっと良い服を着ていけば良かった……」
「え? 俺ってここまで太くないよな? おい! なんで目を逸らした!?」
「やった! さすが私、写りが良いわね!」
「ふふん。私の方が綺麗に写っているわ」
しばらくすれば落ち着くだろう。
いや、そのうち個別の撮影なども許可する予定なので、また騒ぎになるか。
新しいものは、いつだっていい娯楽なのだ。
写真乾板による撮影は、普通なら何枚も作ることはできない。それが出来るようになるのは、フィルムに撮影をして、現像できるようになってからだ。
だけど俺の方で写真をコピーし、複製すればそれも可能になる。
無駄なこと、そう言われるのは分かっているが、何枚かは増やしておいた。原版の管理は俺がするけど、カード化し続けるよりは良いからね。枠の節約になる。
魔力は時間経過で回復するけど、枠は使っているうちは回復しないから。完全に無駄ということもない。
何より、身近になった分、写真文化が村に根付く礎になるだろう。
で、だ。
「カメラの改良、いけそうか?」
「はいはい。資料を貰った分はなんとか、って言いたいですけどね。薬剤をどうやって調達するかと、あとは細かい配合とか?
ハッキリキッパリ、しばらく無理っすねー」
ゴブニュートにカメラと写真乾板。
それを合成することで、カメラマンを用意してみた。
どうせだからカメラマンを強化・進化させて、カメラに詳しく、開発まで出来るようにできないかと俺は考えた。
頭を良くして、手先は器用に。そしてカメラとかを高性能に。
『ゴブニュート』 + 『カメラ』 → 『ゴブニュート・カメラマン』
『ゴブニュート・カメラマン』 → 『ゴブニュート・レコーダー』
進化先の名前が思ったのとは違うのは良いとして、開発系の能力は手に入らず、撮影スキルばかりが伸びたようである。残念。
「いや、それならエンジニアにカメラを持たせれば良かったんじゃないっすかね?」
「……撮影がメインだから。開発に関われそうならその方がいいかと思っただけだから。
そこは、余力の範囲なんだよね」
「カメラを増やして、そこにまた合成した方が安くついたと思うっすよ?」
「言うな」
全てが上手くいってはいないが、写真を残すことは今後も増える。
俺たちの記録、歩みは、写真として後世まで残るだろうね。