表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
カードクリエイターのツリーグラフ
702/729

27-24 100年後に思いを馳せて②

 航空機や爆弾の開発。

 その事業をカード抜きで行うというのは、まだ難しい。

 出来ないとまではさすがに言わないが、時間がかかり過ぎるというのが現状である。



 この世界の平均的な学力というのは、日本を歩き回ってみたが江戸時代か明治初期レベルまで下がっているようだ。

 平均値ではなく、ごく一部の天才がいたとしても、その才能を開花させられる環境ではない。


 付け加えると、生産能力が著しく下がっているため、人口も少ない。たぶん、日本全国を合わせて1千万人から2千万人じゃないだろうか?

 天才の存在を確率的なものだと考えると、数が少なく、活躍できるようになる確率も低い。

 はっきり言って、開発力はまるで足りていない。



 それだけではなく、流通が死んでいるため、生産力と物資調達能力が大きく下がっている。

 せめて蒸気機関が一般化できるレベルであればなんとかなるのだが、それすら出来ないのが現状だ。


 鉄を見れば分かりやすく、その生産力は江戸時代並みで、明治後期と比べれば100分の1程度にまで落ち込んでいるのではないか。そう言いたくなるような状態である。

 反射炉などでも使っていればまだマシなのかもしれないが、たたら製鉄とかをやっているのだ。ここまで技術が後退すると、もう笑うしかない。


 それもこれも、石油が無くなり火力発電が消え、電気を使った製鉄業が無くなったからである。

 石炭が供給されればまだ生き残ったかもしれないが……電線などの経年劣化で給電できなくなり、やっぱり消えて無くなる運命だっただろうな。

 現代日本のインフラは、電気が無くなったら、だいたい維持できないから仕方がない。


 こんな環境では、いくら天才がいても環境がそれに追いつかない。

 天才の発想を実現する手段が弱すぎるのだ。



 同様の理由で、過去の知識の再現だってできやしない。

 現状は半導体の生産を何とか再現しようと躍起になっている所だ。

 真空管を渡してあるが、そこから先に進むまで、あと何年かかるのかね?


 一部の例外、名古屋の発電施設や、仙台の蒸気船など、高い技術を俺と全く関係ない所で築き上げた人たちには畏敬の念すら抱いているよ。

 知識だけあっても再現する手段が無くて、航空機の研究では未だにレシプロに苦戦しているからさ。

 カード能力による技術の再現、そこからのリバースエンジニアリングで何とか研究を進めている所が多い。



 まぁ、この状況を莉奈の用意したガソリンモドキがどこまで変えられるか、と言う話ではある。

 石油の代替品が手に入った事で、この日本がどう変わっていくのかは気になる所である。


 石油と言うか、ガソリン的な燃料があれば乗用車や発電所が本格稼働する可能性はある。

 もっとも、それだけたくさん作るには、まだまだ時間がかかるんだけどね。

 このあたりの技術は、まだ一部の国で独占する予定だし。一気に広まるという事は無いだろうな。


 責任とか義務とか、全部無視して何か広めてやろうかと、少しだけ考えてしまうね。

 それをやった場合、俺が考える以上に世界が混乱するかもしれないが……それはもう、この世界の住人の判断だし。その責任は、技術を広めるだけの俺以外が、自分で背負ってもらえば良いんじゃないかと考えたりもする。

 人の欲望をいちいちコントロールしてあげる必要がどこまであるんだろうね?



 今のは冗談だが、俺が広めてしまっても構わないんじゃないかと思うものも、結構ストップがかかっている。

 広めると混乱するから、国が乱れるから、と。


 最近多いのは、魔法関係だろうね。

 凛音の魔法教室も、ちょっと規模が大きくなりすぎていると聞くし。

 魔法を前提とした法整備も、実は未だに追いついていなかったりするところがあるからな。

 魔法使いの人数がいきなり増えれば、混乱するのも仕方が無いのかな。



 ん?

 そういう意味では、カード能力が無い方がいい部分の方が多いのか?

 社会の変化を考えると、技術の発展は遅い方がいいのか?


 あれ?

 いや、どうなんだろう?


 研究開発は、そこまで頑張らない方がいい、のか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ