27-21 咲耶③
娘の名前ですが、漢字を間違えていたので2話前まで修正しました
×朔耶 → 〇咲耶
秋が深まり、外に出ると、そろそろ寒いと思う季節になった。
そうなると、温かいものが食べたくなる。
生後半年も過ぎれば、赤ちゃんだって離乳食を食べるようになっている。
大体5ヶ月ぐらいが目安で、その頃から少しずつ柔らかいものを食べさせるようになった。
塩気の薄いおかゆや、ミルクで溶いたパンなど。1日1回、小さじに1掬いを食べさせては午後まで様子を見て、与えても大丈夫と判断してからメニューを増やす。
アレルギーなどが出ないか確認して、慎重に食べても大丈夫なものを増やしていく。
色々と試してみたが、咲耶に好き嫌いはあってもアレルギー反応が出たものは無いので、今のところは安心している。
「味はいいけど食べると……」という食材があると、結構きついらしいからね。好きなものを気兼ねなしに食べられるというのは、重要だろう。
あと、変に苦手意識を持たず、好き嫌いの少ない子に育ってほしいね。
今日も離乳食を与え、反応を見ようとしたときのことだ。
夏鈴に抱かれた咲耶は少々不機嫌で、それと言うのも、与える食べ物が子供が嫌いなことで有名なピーマンだったからだ。
匂いで苦味が分かるのか、咲耶は首を左右に振って食べたくないとアピールする。
「うー!」
お粥に混ぜて出されたピーマンペーストが気に入らないのか、咲耶が大きな声をあげた。
そこまではごく普通の事なんだけど……。
「やーっ!」
「……は?」
「「はぁあぁぁーーっ!?」」
匙と、その上にあった離乳食が消えた。
そして、咲耶の近くには、一枚のカードが。
見れば、『ピーマン入りのお粥』というカードになっている。
咲耶、齢0歳にて、カードクリエイターの能力を使用する。
全く考えていなかった事態に、周囲から悲鳴のような声が上がった。
俺も叫びたかったが、周囲が先に叫んだので、タイミングを逃してしまった。
声も出ないとは、正にこの事か。何にどう反応して良いかわからず、椅子から立ち上がったものの、棒立ちになってしまった。
これさ、子育ての難易度が跳ね上がっていないか?
カード化を封じつつ、力の使いどころを見極められるように育てないとダメなやつだろう。
俺は、親としての先行きに大きな不安を抱くのだった。