27-9 戦利品
巫女の件は保留となった。
打てる手が無いのだからしょうがない。
そして、しばらくは危険な存在から目を背け、ゆっくりすることにした。
何と言っても、戦った連中のリキャストタイムが明けていないのだ。
切り札と言えるタイラントボアの召喚が出来るようになるまでの半年間。その間は黄泉比良坂に手を出さないという事で話が付いた。
外の人たちにはカード能力について説明していないので、「用意した戦力が半壊したから当分手を出せない」と言ってある。嘘は言っていない。
これは秘密の類だけど、あの戦いにより、こちらの戦力は結構増えている。
夏鈴たちが倒した敵戦力をカード化してあるからだ。
実はゴーレムとか、「もう自作しなくていいや」と思う程度には数が増えていたりする。
「『魔導人形・統率者』とはまた、狙ったような進化をしたよな」
「ゴーレムを5枚迄とはいえ、スタックできるようになったのは大きいですよね。出来ればその上も目指して欲しいんですけど……」
「☆6の進化だからね。半年じゃ無理だろ」
戦いの中で多くの仲間が経験値を稼いだ。
そういった仲間たちを強化していったのだが、その中には『ゴブニュート・メイジ』と『ヒューマン・ゴーレム』を合成した『魔導人形』がいたのだ。
彼は意思のあるゴーレムのような存在だったが、そこから進化して、同種の存在に精神干渉できるようになっていた。
狙ってその進化を選んだわけではないが、干渉能力がリーダー相当の能力としてカウントされ、ゴーレムやドール系のカードをスタックできるようになっていた。
現地では、そのスタックできる上限いっぱいまでゴーレムを回収してきた。
おかげさまで、ゴーレムは40体ほど追加されている。
ドールについては、ゴーレムで枠がいっぱいになったので、血玉だけ抜き取って処分してある。
ドールも少しは欲しかったんだけどね、優先順位の問題で1体しか回収していない。
ドールは簡単に増やせるけど、戦闘能力の高いドールは持っていなかったので、皆が苦戦したというドールを入手したかったんだよ。
……カード化したら、普通のドールになってしまったので、1体で止めることにしたけどさ。
敵の時は強くて、味方になると弱体化とか、それってどんなゲームキャラだよ。スパ○ボかよと、愚痴を言いたくなった。
あの戦いは、二度とやりたくないと思う程度に苦労した。俺も人間を止めることになった。
けど、ゴーレムや経験値など、手に入ったものを考えると、赤字とは言わない。黒字だとは思う。
そう思わないと、やってられないよ。