表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
676/729

26-24 切り札④

 捕食封印は、ある程度広めの平地に魔法陣を描いて行う封印魔法だ。

 俺たちがいるのは、けっこう細めの獣道。条件として合致しない。


「≪地形展開≫『封印の魔法陣地』」


 だったら、条件に合うよう、土地を変えれば済む話だ。

 『平地』のカードに『魔法陣』を合成した地形を展開し、一瞬で準備を整える。


「これは!?」

「見覚えがあるか! 懐かしいだろうなぁ!」


 さすがにこの展開は予測していなかったのか、巫女の顔に驚愕が浮かび、距離をとろうとするが。


「≪捕食封印≫!」 

「≪送還≫」


 ゴブニュート・シーラーの捕食封印が発動し、巫女を捕らえる。

 巫女は抵抗する間も無く、シーラーに食われ、消えた。


 俺はおそらくも何もシーラーより格上だろう巫女を食った悪影響が出る前に、シーラーをカードに戻す。

 ここまでをほんの数秒の間に済ませた俺は、カードに戻したシーラーの確認をすぐに行う。



『ゴブニュート・シーラー+10』:モンスター:☆☆☆☆:小:10日

 ゴブニュート・シーラーを1体召喚する。シーラーは封印魔法を専門とする、魔法職である。

 現在使用可能なのは、『捕食封印魔法』のみである。捕食封印に特化しており、この魔法に限り、格上すら封印してみせる。

 現在、大蛇の巫女を封印中。現在0%。

 


 よし!!

 新しい封印魔法の研究をしている万能型の錬と違い、捕食封印に能力を全振りしたシーラーは、見事に巫女を封印してみせた。

 巫女との格の差がどの程度かは知らないが、これで一つ目の問題をクリアした。

 同じレベルのシーラーを複数用意するには時間が足りなかったが、なんとか1人だけ用意できたんだよね。

 魔力コストの都合で進化までは進めなかったけど、これなら大金星と言っていい。



「ご主人様!!」

「創様!!」


 おもわずガッツポーズをしそうになった俺だが、周りはまだ戦闘が続いている。

 周囲から、俺に声がかかった。


 俺は喜ぶのを後に、すぐに気を引き締めて周囲に目をやる。


 そして、愕然とした。


「「「うふふ。無駄な努力、ご苦労様でした」」」


 みんなの戦っていたワクチン・オークが、封印したはずの巫女の姿になっていたのだ。


「「「私を一人封印しただけであんなに喜んで。可愛いわねぇ」」」


 ……そうか。

 蛇の脱皮をネタにした、疑似転生のような復活だとばかり思っていたが、そっちのパターンかよ。


 巫女は復活していたんじゃない。

 記憶を共有する複数の体を持つ、群体のような生態だったのだ。

 復活など、していなかった訳だ。



「「「手の内や切り札は、すぐには見せないものなのよ」」」


 巫女の嘲笑が辺りに響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ