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26-11 爆弾と清音

 飛行船を無事に開発できたとして、次に考えるのは飛行船からの攻撃手段だ。

 ただ「空を飛びました」で終わってはあまり意味が無い。空からの攻撃手段を持つべきだ。


 普通に武器などを投げるだけでは、ただ落下による加速を利用した、そこそこ強力な一撃で終わってしまう。

 残念ながら、強力な一撃であれば、地に足を付けた戦士が全力で放つ一撃の方が強い。

 魔法を利用した投擲であれば、命中率の問題もあり地上からやった方がまだマシ。


 そこで、空爆用の爆弾を作るのが最適となる訳だ。

 地上で取り回しの面倒な大きさの爆弾を使うと、敵の攻撃に曝されて自爆になりかねない。運搬も面倒くさい。

 上から落とすのなら敵の攻撃を受けずに済むので自爆になる可能性が低い。

 何より、低い命中精度でも爆弾のような広範囲攻撃なら問題にならない。

 空から爆弾というのは、歴史が証明した最適解なのだ。


……生産が面倒というのと、本来であれば多くの飛行機で面制圧しないと効果が薄いとか、問題もあるけどね。



 爆弾の開発は、村から少し離れたところで行っている。

 暴発の危険があるし、飛行船や飛行機の開発よりもうるさいし、村の近くでやるにはデメリットが多すぎた。

 以前、エルフさんらが難民キャンプをしていた場所に拠点を設け、山を挟んだ向こうで実験をやらせている。


 当たり前だが、爆発試験中の実験場は、かなりうるさい。

 耳栓が必須で、スタングレネードの時に作った物がないと、鼓膜が破れる。普通の耳栓は効果が弱すぎる。

 ちょっと離れた場所で確認しているのだが、効果の確認のために爆風をわずかに受ける程度にしか離れないので、それぐらいしないといけないのだ。


「創様! 本日はお越しいただきありがとうございます!」


 清音は開発室の中にいると聞き、足を運ぶ。

 爆弾開発担当者の清音は、部屋に入ってきた俺を見ると立ち上がり、頭を下げた。


 挨拶するやや声が大きく、ちょっと驚いたが、すぐに納得する。

 鍛冶師達の大声と同じで、うるさい所に長く居たため、大声で話す癖がついたのだろう。良くある話だ。


「開発の進捗確認だよ。状況を教えて」

「はい! 現在は火薬への点火を安定させるため――」


 空爆と合わせてよく聞くのが、不発弾の存在だ。

 第二次世界大戦でばらまかれた爆発せず、爆弾が後になって見つかり、騒ぎになったことがある。

 中には爆発したものもあり、地雷ほどではないが、問題になっていたはずだ。


 爆弾を作るのは止めないが、爆弾の負の側面を無視はしない。

 できるだけ過去の失敗を繰り返さないようにするため、できる限りの事をしよう。他人の失敗からきっちり学ぶことが大切なのだ。


 俺はより良い爆弾のため、清音と色々話し込むのだった。

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