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26-10 飛行船の美星

 ロケット砲などの装備を作らせているけど、人員の方は増やせない。

 カード利用枠の問題があるし、色々と「打ち止め」といった感じがする。


 新しく仲間にしたカードクリエイターの二人、清音と美星は、相手が巫女であればあまり期待できない。

 カードのテキストに出て来ない洗脳をされていたりと、今一つ信用できなくなっているからね。

 二人には、生産関連のカードを中心に任せているよ。


 例えば、飛行船関連とか。





 飛行船関連の開発は、順調に進んでいる。

 どこか大都市を結ぶように飛ばしてみてはどうかという話が出ている。

 商業的な運用が可能な段階に入りつつある。


 逆に飛行機の方は、まぁ、お察しだ。レシプロエンジンでプロペラを回して飛ぶレシプロ機すら、難しい。

 これにはちゃんと理由があって、ジェットエンジンなんかの飛行機に関しては大量に資料が残っていたんだけど、その前段階であるレシプロ機に関する資料が少なかったからだ。

 基本的な技術、レシプロエンジンの構造までは本に載っていたけど、それを搭載する飛行機の方は資料が無く、結局手探りとなったのだ。


 昔の人も、こんなものを再度作ろうなどと考えておらず、資料を残す必要など無いと思ったのだろう。

 俺だって、いきなりジェットエンジンが作れるなら、その方が良かったよ。でも、それが無理なんだからしょうがないじゃないか。



 飛行船関連だけど、一部の素材をカード強化で高性能品に置き換えている。

 それをメインで担当するのが美星だ。


「あ、創にーちゃん!」


 俺が飛行船の工房に足を運ぶと、それに気が付いた美星がパタパタと駆け寄ってきた。

 美星は俺によってカード化されてからしばらくは呼び方が安定しなかったが、最近は「にーちゃん」で安定してきた。


「進捗はどんな感じだ?」

「気球の布は終わったから、金属素材を軽くしたり、頑丈にしたりしているところ。

 なぁ、俺、頑張っているよな?」

「ああ。よくやった。偉いぞ」

「へへへー」


 美星は、まだ10歳。

 はっきり言って、言動はお子様である。

 人殺しをするようには見えないし、鉄火場(せんじょう)に慣れていると言われても、普通は信じないだろう。

 善悪の区別がつかないというのは、本当に恐ろしい事だ。


 今は何か良い事をするたびに褒めて、悪い事をしたら叱るというのを徹底している段階である。

 分かりやすく行動目標を与えるため、飛行船に関わらせているのだ。

 褒められるのが嬉しいのか、仕事はちゃんとやっている様子である。



「なぁ、母さんの様子は?」

「友達もできて、だんだん良くなっていっているな」

「じゃあさ、そのうち、会える、よな」

「俺は、会えるようになると思っているよ」

「そっか! うん、ありがとな!」


 ただ、一番の原動力は「母さんに会いたい」だ。

 俺としては清音の希望、「美星の顔を見たくない」を優先する立場なので、会わせる気は、今のところ無いんだけどね。

 時々、そんな話があるって程度には確認するよ。

 人間の感情って、良いのも悪いのも、長続きしないものだからなぁ。

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