26-9 ロケット砲開発
夏鈴が色々と考えているので、黄泉比良坂の攻略を考えるのはそっちに任せてしまえばいいだろう。
俺がするべきは、ロケット砲の完成や、その他有用そうな兵器の用意だ。
そうやって装備で戦力の拡充を目指す。
こういった事は、役割分担だ。
俺は俺にしか出来ない事で貢献しようと思う。
「創様。やはり、まっすぐ飛ばすのは難しいようです」
「素直に大砲の方が良いのかな?」
「あ。そちらはもう完成していますよ」
火縄銃のような携行武器を大型化すると、大砲になる。
そして、射程距離を伸ばそうとすると、どうしても大砲では限界が来る。
砲弾を爆発で飛ばすという行為の限界だ。
砲の大きさと威力、そして得られる効果のバランスが釣り合わなくなるのである。
ロケットはその限界を打ち破るものだ。
砲身に威力と飛距離を依存する大砲から、弾そのものに飛ぶ機能を付けた物、それがロケットだ。
こうなると、砲身は狙いを付ける為だけのものになる。大砲よりは、ずいぶん軽くなる。
もっとも、弾の値段は跳ね上がるんだけどね……。
これを更に進化させるとミサイルで、自動追尾機能が付くけど、そこまではしない。というか、出来ない。
ゴーレム化というファンタジックな解決方法は思い付くけど、コスト的にはやりたくないので試さない。
ゴーレムって、数を増やしているけど、今はまだカードでしか作れないからね。消耗品ではないのだ。せめて耐久消耗品だ。
ああ、使うべきところでは使うよ。黄泉比良坂攻略の時には投入して良いと思う。俺が行くならね。
それはそうと、ロケット砲の開発だ。
飛距離を出すために、ロケット後部には噴出孔があるんだけど、その出力が安定しないんだよね。
内部の燃料が均一ではないのか、孔の位置か、大きさか、形か。何らかの理由で噴射が安定せず、狙いが大きくズレる。
姿勢制御翼もつけているけど、フォローしきれないレベルでズレが生じてしまう。
「カード強化で誤魔化したのを参考に、なんとか解決してくれ」
「はっ!」
たくさん作らせてる物の一つをカードにして、強化で「まっすぐ飛ぶ」と付け加えて誤魔化してみた。
で、開発チームに残りと何が違うか検証させる。
完成品があるなら、リバースエンジニアリングで多少は技術も進歩するだろう。
これが魔法的な強化で、技術的にはなにも変わらないというなら、あとは魔法で頑張れと、そうやって別の誰かに仕事を割り振ることになるけど、全体的には成長する。
では、次は飛行船の開発状況確認と、空爆用の爆弾の用意でもするかな。