26-3 巫女の足取り
あの二人以外は、似たような洗脳をされているかと思いきや、特に何かされているということはなかった。
とりあえず、引き出せた情報は。
「血縁関係は不明、と。
分からないって事が分かった。面倒だな」
「逆に言えば、隠すだけの理由があるということですよね」
「血縁でない可能性の方が高いよね?」
「高いですね。洗脳して家族だと刷り込んだのでしょう」
相手がやった事からの推測、未確定情報だけだ。
ま、それだけでも問題ないけどね。
他にも、巫女が伊勢に居た期間と周期から、相手の拠点を割り出せるかもしれないので、各地に目撃情報が無いかを確かめさせている。
定期的に現れるようなら、目撃情報を繋ぎ合わせることで移動速度を割り出せるし、そこから相手の拠点すら探り当てられる。
巫女が各地に支援者でも作っていれば話は別だが、そうでなければ食料などの物資補給に、人里に立ち寄るはずなんだよね。
目撃者は必ずいるはずなんだよ。俺たちがその人を見付けられるかどうかは運次第で、知らないけど。
なお、この件については国などにも支援を求めている。
大蛇関連の話は国など組織にとって頭の痛い問題で、何処もどうにかできるなら、どうにかしたいと考えている。
敵の重要人物らしき存在が明らかになったのだから、その行動を監視出来るならしたいだろう。
そんなわけで、清音と美星の監修で、巫女の似顔絵を作成して配布している。
どうでもいいが、顔よりも格好の方がインパクトがあるので、それで判断した方が早かったりするけどね。
大蛇の巫女、聞いた話では黒い服を好んで着るので、周囲に溶け込めないんだよね……。
宗教的な意味があって、そんな格好をしているんだろうけど、隠れる気はあるんだろうか?
無さそうだよな。うん。かなり目立つ。
それと、敵の拠点を探し当てたときに備え、ロケット砲の開発を始めた。
敵が強いなら、できるだけ遠距離砲撃でどうにかしたいからだ。
魔王城があるなら、城ごと吹き飛ばすのは基本戦術である。
ミサイルは無理だけど、ロケット砲なら開発は難しくない。いや、難しいけど、ミサイルほどではないんだよね。
ロケットは、狙ったところにただ飛ばせればいい。燃焼により推進する、飛翔物の事だ。
ミサイルは、飛ばした後も目標に向かって軌道修正、方向制御まで求められる。
どちらが簡単かは、言うまでもない。
爆発物はあるので、爆発でロケットを飛ばすノウハウを蓄積し、当たった後にロケットが爆発するようにするだけ。
言葉にすると、すごく簡単に見える。
実際は狙ったところに当てることも含め、とても大変なんだけどね。
まあ、基本の技術は手元にあるので、そこから発展させるだけだよ。