25-26 ネズミ⑤
ネズミを保護するとして、最初にするべきはカード化である。こちらの配下にしてしまえば、その行動はこちらの管理下に置ける。
カードモンスターであれば、何かしようとしても召喚を解除すればいい。
なにより、カード化した時に、俺への忠誠心が植え付けられる。
これは終を初めとするカード化した仲間たちがそう言っているので、間違いない。
カード化による各種メリットが、ちょっとした幸福感を演出するのだろうよ。
本当にどうにもならないと判断したら、合成の素材扱いすることになるだろうがね。主体にした方の記憶しか残らないから、能力だけもらっておくことになるよ。
ネズミの説得は、割りと簡単にできた。
やはり考えが子供というか、視野が狭く単純だったので、あっさり誘導されたのだ。
「そうそう。お前は伊勢の連中に騙されていたんだよ」
「くっそ! だからか! だから母さんに嫌われてるのか!」
ネズミがあの子に嫌われていることは間違いない。
それを認めたくないだろうから、俺は認めたくなるような餌を与えただけだ。
全部、伊勢のならず者のせいにすれば良い。
実際、あいつらがちゃんとネズミを育てていれば、こいつが真っ当に育っていれば、嫌われることもなかったのだ。
誰がどう考えても、全部、あいつらが悪い。
そうやって「自分も被害者なんだ」という意識を植え付け、じゃあどうすればいいのかという話として、俺のカードモンスターとして「母さんと同じ立場にならないか?」と勧誘したら、簡単に釣れた。
あの子もいずれ心の整理がつけば、ネズミも被害者で会ってもいいと思うようになるだろう、たぶん。
カードクリエイター:ヒューマン:☆☆☆☆☆☆☆☆☆:大:1ヶ月
カードクリエイターを1体召喚する。カードクリエイターは、カードを使い、あらゆるモノを創造し得る存在である。その真価は所有するカードによって決まる。
この二人は☆が9と、コピーも強化も出来ないカードだが、能力が破格なのでそれもしょうがないか。
魔力はそれぞれが独立しているので、普段から召喚をしっ放しにしたいぐらいだし。
これで俺たちのカード開発能力が三倍になったようなものだ。
そう思っていたんだけどな。
「カードに魔力を注ぐ方法が分からない?」
「あうぅ。申し訳ありません」
天然モノと言うか、俺のような出自でないため、彼女らはカードへの理解が無いようだった。
俺のようなオリジナルと違い、基本となる扱いに漏れが多く、知らないことも多い。
仲間が増えれば、出来ることが増えるが、面倒も増える。
ネズミの教育もあるし、また俺の仕事が増えるな。