表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
父と娘と、希望と絶望
647/729

25-21 上谷・真⑤

 路地裏、物陰で夏鈴と春華に警戒心が足りないと説教をされていると、いつの間にか周囲を囲まれていた。

 どうやら釣りは成功したらしい。


 囮ではなく俺の所に来たのは残念だが、それは構うまい。

 こんな分かりやすい餌に食らいつくのだから、相手はそうとう焦っている様だし。



「練度が低い! 雑魚ですね!」

「数で攻め切るつもりですか。甘すぎです!」


 現れた連中は、ここまで近付いた技量はともかく、戦闘能力が低めだった。夏鈴や春華に勝てないのは言うに及ばず、俺でも簡単に倒せる程度の実力だった。

 あまりにも弱いので、もしかしたら、操られてしまった一般人かもしれない。念のためにカード化で確認してみるが、そんなことは無かった。セーフ。



 俺たち3人は10人以上を倒した。

 親衛隊は上谷が近くにいるという前提で周囲を走り回っており、外で敵と戦っている事だろう。


 敵と戦う事に慣れ、作業となった瞬間、その隙を突くように強いのが現れた。

 倒した、そう思った瞬間を狙っての事だったんだろうけど。


「この程度で!」


 春華が強めの敵をあっさり下し、事なきを得る。

 春華は元が攻撃系ではなく防御系だ。その程度のフェイントには引っかからない。そこでさらに本命、という2重トラップにもなっていなかったため、敵の策は不発に終わる。

 何と言うか、舐められすぎではないかと言いたくなる。



 それとも、だ。

 相手の手札に、ロクなのが残っていないだけかもしれない。


 上谷は配下にもカードクリエイターが居たし、彼女をメインで使っていたのなら、本当に強力なカードは彼女が使うようにしていた可能性だってある。

 あの少女はまだ召喚していないが、彼女の手札が雑魚札ばかり、という事は無いだろうし。戦闘で使える強力なカードは、思った以上に少ない可能性がある。



 そうやって敵を倒し続け、路地裏に30人分の死体が折り重なった頃。


「御主人様。上谷を捕らえました」

「さすがだな。五代らに任せて良かった」

「お誉めに預かり恐悦至極」


 下忍衆を率いた上忍が、俺に吉報をもたらした。


 上忍の五代の足元は、腕をへし折られ苦悶に歪む少女が一人、鎖で縛られている。

 カード化で確認してみると、他人のカードモンスターではなく、ただ拒絶されるような反応により失敗。


 今度こそ、本物の上谷であった。

 見た目は、10歳かそこらであったが。


 ……幼女とは言わないが、こんな小娘かよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ