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カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
父と娘と、希望と絶望
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25-17 上谷・真①

 春華の盾は、特別製だ。

 魔力に反応し、強度を増すという能力を持っている。

 この盾を砕く事など、簡単な事ではない。


 しかし、その春華の盾でも、衝撃を殺す事は難しい。

 そういった力を受け流すような事は、本人の技量に頼るしかない。

 とてつもない力を受けたとして、盾は砕けないかもしれないが、その前に腕の骨が先に砕けてしまう。


 春華は、下手な事をすれば自身の腕が砕けるかもしれない状況でも冷静に判断し、俺に攻撃を通さず、敵の攻撃から完全に守って見せた。

 その対価として、左肩の骨が外れてしまったようだが。



「親衛隊! これ以上攻撃させるな! 攻めろ! 夏鈴の指揮で敵を討て!」


 外の敵は、夏鈴に任せる。

 魔剣親衛隊を使い、迎撃に向かわせた。

 残った俺は、春華の治療を行う。


 骨が外れたとなると、魔法による治療が難しい。

 腕が切られた時は切断面を合わせてから治療するように、肩の骨が外れたのならば、骨を嵌めてから治療する必要がある。


「春華、いくぞ」

「いつでもどうぞ」


 俺は春華の腕をとると、そのまま肩に嵌めこむ。

 緊急時の素人治療という事もあるが、プロに任せても骨のはめ込みはものすごく痛い。春華の顔が苦悶に歪む。

 しかし、骨はちゃんと嵌ったので、炎症を起こしている肩周辺の治療に、『ヒール』を使った。



 春華の肩は治した。

 だが、敵はまだいるかもしれない。

 俺は周辺の警戒を行うと同時に、足手まといになる少女をカードに戻した。

 そして、護衛を追加で召喚する。


「敵もカードクリエイターなら、どこかに追加の戦力を置いているだろう。

 まずは守りを固める」


 俺は壁に開けられた大きな穴から、敵の姿を探す。

 身を乗り出すような真似はできないのでそこまで視界は広くない。俺の目では、敵の姿を捉える事はできなかった。

 戦闘の音からすると、部屋の中からは見えない場所で戦っているようだ。


「春華。ここから移動した方がいいのか?

 敵の姿を目視している方が俺を守りやすいと思うが」

「いいえ。どこに敵が潜んでいるか分かりません。先ずは周辺の安全を確保することが最重要です」


 戦闘の様子が気になることと安全性の面から、場所を移した方が良いと思ったが、その前に移動先までの安全確保が優先だと窘められる。

 本物の上谷を前にした俺はどうやら焦っているようで、その姿を見たいと、そんな考えを抱いたようだ。


 判断ミスは素直に認め、春華の指示に従う。

 召喚している護衛の面々に安全確認をしてもらい、安全だと判断したルートを通って外に行く。

 より安全なところで守りを固めることを優先した。


 道中、敵の伏兵に何度か襲撃されたが、来るだろうと警戒していればそこまで脅威でもない。

 中には建物の隙間、普通に探しては見つからないような場所から襲われもしたが、それすら難なく叩き潰した。



 ……敵を倒しても、カードにできないって嫌な感じたよな。

 使い捨て、フリーの敵がいないとか、俺に優しくない。

 やれやれだね。


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