表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
父と娘と、希望と絶望
642/729

25-16上谷の処遇②

 上谷が吸魔晶石で大量に魔力を吸われ続けたままでは、まともに話ができない。

 ボディチェックでカードを取り上げ、それから鎖の量を半分に減らした。

 カード無しでどこまで魔法を使えるかは分からないが、そこまで強力な魔法を使えるということは無いだろうし、護衛もいるので危険度は低い。

 これは油断では無く、余裕がある状態だ。



 鎖の量を減らし、しばらくすると、上谷の魔力が僅かだが回復していくようになった。

 そして彼女はようやく喋れるようになったが。


「嫌……殺さないで。痛いのは嫌……。死にたくない……」


 無表情で、そんな事を呟いていた。

 意識がはっきりしていることと、会話が通じることは別である。

 上谷の精神状態はあまり良くないようで、まともな意思疎通など、試すだけ無駄だろう。



 ふむ。

 俺は少し考えたが、本当に追い込まれたような精神状態というのは都合がいい。

 少し優しい言葉を掛けて、カードにしてしまおう。

 その後に話を聞けば良いか。


「俺に従属するなら、痛いことなんてしなくても良くなるよ。どうする?」

「助けて……。なんでもするから」


 上谷はこちらの言葉に反応した。

 表情は変わらないが、俺を見て助けを求めている。



 都合の良い状況だと思いつつも、俺は上谷をカード化しようとしたが。


「弾かれる? 拒否されている訳じゃなくて――全周囲を警戒!! 敵はまだいる!!」


 上谷のカード化に失敗した俺は、すぐに現状の拙さに思い至った。

 カード化を拒否された訳では無く、「弾かれた」のだ。


 おそらくこいつは、他の誰か(・・・・)にカード化された誰かだ。

 ここにいる上谷は、本物の上谷じゃない。

 ただの、スケープゴート。


 本物の上谷は、ここにいる彼女を暴力で支配している、何者かだ。

 俺が夏鈴を代理人にしているように、敵はこの子を表に立てて裏で動いていた!



 一度はカード化に失敗したが、それでもなんとかしてやろうと、俺は捕まえた彼女を、もう一度カード化しようとする。

 カード化の仕様が正確に分かる訳ではないけど、魔力を消費して行なうのだ。力押しで押し切ることも不可能ではないはず。


「――出来た!!」


 上谷の影武者だったカードクリエイターの少女。

 魔力の7割以上を使ってしまったが、少女を何とか解放できた。そのまま俺のカードとして救出した瞬間。


「ご主人様!!」


 激しく金属がぶつかり合う音が響き渡る。

 壁をぶち抜いた襲撃者の一撃が、春華の持つ盾を打つのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ