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カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
父と娘と、希望と絶望
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25-15 上谷の処遇①

 魔力の回復量と吸収量で釣り合いが取れていない、吸収量の方が多い時と言うのは、吸われる者に酷い倦怠感をもたらす。

 ガチガチに吸魔晶石の鎖で縛られた上谷は、息をするのも辛いといった有り様だった。

 これぐらい状態が酷ければ、会話もままならないね。

 話を聞く気など無いからあんまり関係ないけど。





 改めてじっくりと観察してみると、上谷はかなり酷い扱いを受けていたことが分かる。


 基本的に身だしなみという考えを持っていないし、かなり臭い。

 あと、虐待の痕があったのだ。


 長い髪は伸ばしているのではなく、伸びていると言うだけ。ボサボサで、かなり痛んでいる。一度、バッサリと切って短くした方が良いな、これは。

 肌の方は見るだけで嫌な気分にさせられる。上谷の肌には、古い火傷の痕や傷跡がしっかりと残っていた。医者もどきを少ししていたから分かるが、この痕は1年前や2年前の物では無い。もっと前の物だ。


 ここから、まともな育て方をされたようには見えず、虐待により考え方がおかしくなってしまった子供であることが推測できた。

 あの(・・)伊勢の連中を思い出せば、まともな人間に育つという可能性など無いのは当然だが、この子はその中でも更に酷い扱いを受けていたのだろう。



 これは、あれだ。

 現代日本の法律的な考えで言うところの、精神障害による心神喪失状態、責任能力が無い状態だ。

 つまり、無罪。


 未熟な状態な子供は高圧的な親の教育により人格が支配されている事があり、善悪の判断を自分でまともにできない。

 そうなると、全ての責任は親に移行し、親が裁かれる訳だ。

 子供の方も無罪となっただけで、保護観察処分になり、再教育による矯正を行なう訳だが。


 この場合、こっそりと攫ってきた俺が、それをやる事になる。

 元々、カード化して使う気でいたけど、扱いは少し考えても良いのかも知れないな。



 いや、一回、ちょっとだけ考えを落ち着けよう。


 ここは現代日本じゃ無いし、俺は当時の法律を遵守する気も無い。

 そもそも、法律を尊重するのであれば、北海道の人達に隠れてこいつを攫ってくることなどしないだろうが。


 そして俺は現代日本の心神喪失による無罪に、あまりいい感情を抱いていない。

 人を殺したのであれば、心神喪失とか責任能力が無いとか言わず、ちゃんと裁くべきだという人間だった、はず。

 ここでこの子を無罪相当にするとか、それは違うだろう。


 ……こういう事を言い出すと、ブーメランが酷いけどな。裁くとかそういったのは実際に被害に遭った人達の権利で、俺の物じゃないし。

 有効活用する為とは言っても、彼らに黙っている時点で、俺の方も同じ穴の狢だ。

 上谷を処刑することと死体蹴りをすることだって、民衆の怒りを晴らすという意味では有意義な行為だし。

 その権利を勝手に取り上げた段階で、俺は泥棒な訳だよな。彼らが上谷を捕らえられたのか、という点は考慮してもらうとしても。





 うん。

 開き直るか。

 細かいことは気にせず、思うようにやろう。気にしすぎると禿げる。

 とりあえず、今は上谷をカード化してしまおう。


 上谷の親類とか、そういった者を探る為に生きたままカード化するのを優先。

 無理なら諦めて殺し、その後、カード化する。


 それでカードクリエイターの能力がどうなるのか。

 それを検証しておこう。

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