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カードクリエイターのツリーグラフ  作者: 猫の人
父と娘と、希望と絶望
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25-10 再戦⑤

 上谷は行方不明だが、まだ北海道に居ると思われる、らしい。


「上谷は何かを探していたようなんですね。その為に村を襲わせ、人を集めていた」

「襲われた村の共通点、何か気づいた点は?」

「どの村も、襲われる半年以内に引っ越しをしてきた人間がいるようなんですね。それも、北海道の外から来た人間が居る村ばかり襲っていたようです。

 その条件だと我々も当てはまるんですけど……人数が多かったからか、対象外だったようですね」


 北海道の外から来た人間、ね。

 言い換えると、どこから来たかも分からないような奴、って事じゃないかな。


 なんとなく、上谷の目的が見えてきた。

 たぶん奴は、俺とか水無瀬少年のような、タイムスリップ? してきた転移者を探しているんじゃないかな。

 水無瀬少年は特に何か能力があるという訳ではないけど、転移者は俺のような能力持ちである可能性が高い。尾張の村河さんも転移者で、能力持ちだっていう話だし。

 そういった能力持ちの転移者をカード化して、その能力を得たいんだろう。


 あとは「何のために能力を求めるのか」が重要なんだけど、そこまでは分からない。

 手持ちの情報からでは推理できないし、もう少し調査が必要だろう。



 俺は上忍の五代とそんな話をしていたのだが、会話はそこで中断される。


「奴だ! 疫病神が出たぞ!!」


 なんだって!?





 俺たちがいるのは、小さな村ではなく、都会の釧路である。

 釧路は北海道における太平洋側の窓口で、船を使って本州側から多くの人が訪れる。

 つまり、かなり人が多く、戦力だって整っている場所なのだ。


 で、あるのに、疫病神こと上谷により、その釧路が襲われている。

 なお、今は釧路到着1日目の夕方ぐらいである。

 まるで狙いすましたかのようなタイミングだ。



 流石にこれは予想外である。

 戦力はある程度事前に召喚していたけど……この場で戦うのは、あまり良くないな。人目があるので、自由に戦力を追加できない。


 聞こえてくる怒声と破壊音から、釧路の戦力が押されている事と敵の数が多いのが分かった。複数方面から攻め入られた様子である。東西と北、南の港以外のどこも応援を求めている。

 あと、魔法使いがそれなりにいるようである。魔法使いにやられたとか、そんな話も聞こえてきた。ついでに火の手も上がっているな。


 手持ちの戦力は少なく、敵の戦力は多い。


「夏鈴、逃げよう」

「はい。この場は――」


 俺は戦力不足を理由に、即時撤退を決める。

 夏鈴もそれに同意し、俺たちは逃げようと思って立ち上がろうとしたが。



「奴の狙いは船だ! 船を奪われるぞ! ああっ!? あの(アマ)、船を沈めやがった!!」


 上谷の目的が、船の奪取と逃亡であると聞こえてきたため、腰を中途半端に浮かせたまま、顔を見合わせる。

 視線で会話をして、同じことを考えているのを確認し、頷く。


 俺たちは護衛を連れて港の方に向けて走り出した。

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