25-8 再戦②
北海道。
つまり、新鮮な海の幸。
カニはマスト。エビ、ウニ、イクラ、サーモン……一部、季節じゃないってさ。忘れてた。
獲れないとは言わないが、味は落ちると注意されたよ。
悲しい。
いきなり暴走してしまったが、船に2日ほど揺られ、北海道の釧路にやって来た。
北海道は、「~~の国」ではなく、北海道でそのまま。
昔の言い方をするなら蝦夷とかそういった言い方なんだろうけど、それって蔑称だからね、北海道でそのままらしい。
地名や何かもそのまま使われているので、今までの中で一番気が楽な国である。
ただ、中心となるのは札幌ではなく、十勝。
北海道の中心という事で、そちらが道都という事になっている。
もともと、札幌が北海道の中心だったのは開拓初期に流通の面で優位だったからで、気候としては釧路の方が住みやすいとも言われるような場所である。
日本海側がモンスターの脅威にさらされやすいという事もあるし、遷都されたのは致し方が無いと言えるだろう。
内陸から太平洋側の都市で道都として相応しかったのが、今は十勝だった。
おそらくだけど、首都が十勝になったのは、穀物生産量が北海道で一番だっていうのもあると思う。
この時代、やっぱり食い物を持っている奴が強いのである。
北海道の様子だけど、すでに春になったから交通網が復活し、人の行き来が復活している。
一部はまだ雪が残っているらしいけど、それは山の話。
5月にもなれば平野部の雪はあらかた消え、山道の雪も退かせられる程度しかない。
まぁ、情報も行き交う訳だよ。
そうなると、革命を掲げていたお馬鹿さんの所業というのが知れ渡る。
情報収集担当の上忍と下忍衆が暗躍した結果であった。
結果、民衆からそっぽを向かれて袋叩きにあったらしい。
革命を起こした連中はほぼ全員縛り首になり、今は何処かで揺られているとか。
問題は、革命家の中でも中心にいた、あちらさんの最大戦力の行方である。
俺がとりあえずで上谷と命名した彼女は、現在行方不明。
下忍らの集めた話から推測すると、彼女がカードクリエイターである事は間違いなく、北海道もかなり警戒しているようだ。
「成る程、成る程。まぁ、中陸奥の国の身分証明もあるので? とりあえずは信用するとしますけどね。
ただ、状況が状況なので、外国人は疑われる、嫌われると思ってもらいたいですな。何かあった場合、一方的に悪者にされる事もあるでしょうなぁ。
出来る限り、速やかに用事を済ませ、帰国する事をお勧めしますよ」
その警戒の影響で、普通に入国したはずの俺まで散々疑われる羽目になった。
分かってはいるけど――やっぱり、上谷は許さない。
絶対に見つけ出して、殺してやろう。