24-22 錬金術師とフィールドの話
能力が次世代に継承される場合、俺と同じような能力を持った人間がもっといても不思議が無い。
子供から孫へと世代が移る度に、能力を持った誰かというのは倍々ゲームで増えたとしても不思議ではない。
特に、自分はハーレムに忌避感があるためそういう事をしないが、男であれば複数の女性を孕ませる可能性がある。
子孫が途絶えるというのは考えにくく、そうであればカード能力というのはもっと有名でもおかしくはない。
カード能力は優秀なので、何人かいれば一人ぐらいは表舞台で高い地位に就いていると思われる。
政治家としての優秀さはなくても、開発者としてなら名が売れるだろうし、相応の収入があっても良さそうだ。
「今更気が付いたけどさ、『錬金術師』って、居るんだよな。本当に金を作る人。俺、全く見た事が無い気がする。
もしかして、この錬金術師って、カードクリエイターなのか?」
「言われてみれば、そうですね。私も錬金術師は見た事も聞いた事もありません。
大垣市で、それなりに認知度の高い職という扱われ方をしていたと思いますが、錬金術を使う術者本人は見ていませんでした」
カードクリエイターの話をしていたら、思考がわき道に逸れた。
だが、そこそこ大事なことに気が付いたと思う。
その昔、たまに名前が出ていた『錬金術師』というものの正体についてだ。
「錬金術で作られた金は違法」などという法律ができる程度にメジャーな存在だから、実在するのは間違いないのだが、俺は会った事が無い。
この錬金術師がどんな方法で金を産み出していたかは知らないけど、もしかしたら、錬金術師はカードクリエイターだったのかもしれない。
俺は過去にいたという錬金術師について教えてもらおうと、メモを取っておく。
「思ったよりも、カードクリエイターはいたのかもしれませんね」
「ああ。さすがにカードクリエイターがやらかしてモンスターが生み出し続けられているとか、そんな事は無いだろうけど、過去には思った以上の数のカードクリエイターがいたのかもしれないな」
「もしもこの世界にモンスターが溢れている理由がカードクリエイターの仕業ならば、色々と説明ができそうですね」
「勘弁してくれ。それだと、ダンジョンとか、モンスターを産み出すフィールドカードでも作ったって事になるじゃないか」
「……ああ、それなら可能そうですね。試してみませんか?」
「試さないよ。ただでさえ、フィールドカードはデッキコストが重いんだから」
その後、フィールドカードについての話を少しだけした。
やろうと思えば、魔法的な効果を持つ地形を産み出す事も可能なフィールドタイプのカード。
傷が回復する森とか、作物が育ちやすい土地とか、そういったカードも、一応作れる。というか、作った。
頑張れば、モンスターが湧くようなフィールドも作れるだろう。
ただ。そういったカードを作るためのコストが重い事は当たり前で、俺自身、フィールドのカードはそこまで増やしていない。
それに、少しの土地を入れ替えるだけでもデッキを長期間圧迫するので、積極的に使う理由がない。
最近は、船とか同じぐらいデッキを圧迫するカードも増えたけどね。
それでも、カード利用枠を削るフィールドのカードはあまり出番がない。
ゴーレム無限沸きとかであれば、有効か?
いや、さすがにそれは無理があるか。
ゴーレム無限沸きで素材になる金属大量ゲットとか、ゲームじゃないんだから、やろうとは思えないかな。