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2-18 逮捕

「以前、貴金属買取店で贋物の砂金を売却しようとした者だな? また、その砂金を岐阜で売却したな。

 詐欺の容疑で、逮捕する」


 いきなりだが、大垣市で警察に捕まった。





 さて。俺は昨晩、貴金属買取店で窃盗の罪を働いたわけだ。

 だがそれに関しては以前持ち込んだ砂金を贋物扱いされた上に一部を奪われたからであり、自身に恥入ることなど何もないと胸を張って言える。


 持ち込んだ砂金はカードの能力で作ったものだが、間違いなく金である。

 贋物扱いされる謂れなど無い。

 それを贋物扱いした上に全部寄こせなどと言う悪党へ制裁を行う事に、躊躇いなど無い。


 そんな事を考えていたわけだが、それ以前に、また砂金を贋物扱いされた上にそれを理由に逮捕されるとは、いったいどういう事だろうか?



 いきなり逃げる間もなく捕まったため、俺はしばらく様子を見るために、大人しく逮捕されることにした。





 以前、俺は岐阜市の警察に砂金を贋物扱いされた事と、そうやって行動を正当化しつつ暴力で奪い取ろうとしてきた事を報告した。

 その後は岐阜市のお店で砂金の買取をお願いし、普通に売り払う事に成功した。大垣であったことは、この店の店主さんにも話をした。


 どちらも俺の話をちゃんと聞いてくれたので、警察とは話が付いているものと思っていたのだ。

 なのに、こうやって捕まってしまった。


 どういう事だろうと思いつつ、状況を把握するために、まずは相手の言い分を聞いてみるつもりだ。



 俺は容疑者として拘置所に入れられたわけだが、一応はまだ容疑者で、犯罪者ではない。

 この世界、裁判制度があるようだ。

 今一つよく分からない社会である。中世ヨーロッパと関係ないのはいいけど、中途半端に現代っぽい所もあるし……。

 一般常識を持たない身としては、身の振り方に疑問を覚えてしまう。


 警察の自浄能力がどこまで作用したかも気になるし、この世界の裁判制度がどうなっているのかも分からない。

 今回の逮捕はそういった情報を得るためのものだと割り切り、大人しくする。

 カードを含む荷物は取り上げられていないので、全力で暴れればいつでも逃げ出せる。切羽詰まった状況ではない。





 容疑者とはいえ一応飯が出るようで、あまり美味しくない薄い塩味の粥だけが与えられた。

 念のために食事のカードは、ここでは使わない。肉を寄こせと言いたいけど、しばらくは様子見だからと我慢する。


 そうやって1日が過ぎ、2日が過ぎ、3日が経つと、見たくない顔と意外な顔を見ることになった。



「おお、こいつだ! 間違いない!」

「そうね、この子よ」


 大垣と岐阜の貴金属買取店の店主たちである。

 何故か二人が揃って俺の顔を改めに来た。

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[一言] あぁ、グルかぁ
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