24-18 もう一人のカードクリエイター②
「くはっ! 覚えがある、覚えているぞ!
なんだ貴様ら、あのお人好しの、愚か者の縁者か!
ああ、そうだな! このような地であれほどの軍を率いるとするなら、あの男の縁者以外はあり得ぬよなぁ!!」
尋問は、非常にスムーズに終わった。
以前の吾妻のような者は拷問耐性獲得の為に専門の訓練を積んでいるが、ここに住んでいる連中はそんなものとは縁遠い、ただの下衆どもだ。
少し痛めつけてやれば、あっさりと情報を吐く。
こんな連中が、と思わなくも無い。
ここに拠点を造った誰かは、善意でここに人を入れ、そして裏切られたのだろう。
俺と同じ能力を有した誰かは、そうして死んだのだ。
まるで、俺の未来を暗示するかのように。
「娘を人質にしてやったら、本当に何もせずに殺せたよ。
あれは楽しかったよ。その後の、娘がどうなるかも考えなかった愚か者の前で、ひひひ、散々楽しませてもらったよ」
壁越しに喋る下衆は、何十年も前の事を思い出し、嗤っている。
聞こえてくる胸糞悪い話は聞くに堪えないが、それでもその最期を知り、記憶しておくのは今に生きる者の務めだ。
二度とこういった下衆がのさばらない様に。未来への教訓として、俺は知ろうと心を鎮める。
「貴様ら、貴様らもすぐに地獄に落ちるさ。我らの娘が、貴様らを討つだろう。
ふ、ふひひ。先に地獄で待っているぞ」
いやにぺらぺらと話すと思えば、下衆どもは下衆らしい、下らない脅しを最期に残した。
自分が助かる可能性が少ないと分かっているからこそ、もう自棄になって色々と喋り、俺に呪いの言葉を投げつけるのだ。
ならば、相応の扱いをしてやろう。
怒りを通し越した俺は、その後の処理を魔術部隊に依頼する。
人体実験用のモルモットとして使う。
体から実験に不要な機能を削除し、運んでおくように命じた。
楽には死なせない。
その程度の、低俗な意趣返しだ。
その後、俺たちは2日かけて残り3つあった集落も全てを消し去った。
山狩りまで行い、徹底的に攻め滅ぼした。
こんな連中に、生きる権利は無いとばかりに。
この攻勢の中では特に大きな反攻は無く、下衆どもの言う「我らの娘」発言の意図も分からぬまま、伊勢の山奥に潜むならず者どもは一掃された。
手応えの無さは不気味ではあったが、「我らが娘」というのが敵の戯言である可能性も否定しきれず、一応覚えてはおくが、深くは気にしない事にした。
集落が消えて無くなってもまだ出て来ない事から、俺の意識を無駄な部分に割き、思考の幅を狭めるブラフだろうと結論付けたのだ。
生き残りがいたとしても、この状況下で俺に反撃を企てるほどの力は残らないだろう。
他に遠征をしているという情報も無いし、遠征組がいたとしても俺の存在に気が付けるだけの証拠など無い。
全部終わったと、俺はそのように油断した。