24-15 赤のツリーグラフ⑦
生活し難いはずの場所にある集落。
山の中にしてはそこそこしっかりとした造りの家。
そういった幾つかの情報に違和感を感じはしたけど、住んでいる連中は話の通じない、モンスター。
種族がヒューマンであれ、害獣、モンスターでしかない。
幸い、敵に強者はいない様であった。
戦うために鍛え上げた兵士に敵う者はおらず、俺たちは一方的に命を刈り取っていった。
俺は安全圏でそれを見守る。
駆逐、根切り、蹂躙、殲滅。
使う言葉は何でもいいが、敵を殺す作業は順調に進んで、2時間ほどでおよそ100ほどの死体を積み上げる事になった。
俺は戦場になった集落の址を歩く。
歩きながら目に見えた死体をカード化し、スタックしていく。
スタックする前、カード化の直後は一時的にカード利用枠の限界に引っ掛かる事もあるので、周辺の警戒は入念に行わせている。
こちらの物資は潤沢なので、ここから略奪する必要は無いが、隠れている生き残りがいないかと、家探しもさせている。
「違和感というか、集落だけ見ると、わりと良さそうな生活をしているんだよな。
それこそ、山賊みたいなことをしている連中とは思えないぐらいに」
「夏鈴様に、あとで見ていただきますか?」
「却下。妊婦を動員するつもりは無いし、出産までには全部終わらせるから、どうでもいい」
夏鈴と凛音、莉奈、終の4人は、村に居る。
その為、副官扱いで連れているのは普通の戦闘系ゴブニュートだ。
いつもの4人以外に俺の近習になった経験など無いので、こちらの意を酌むことができず、ちょっとずれた追従をする。
今後を考えると、そのあたりは改善しないといけないかな?
課題として覚えておこう。
そうやって、カードを作りながら歩いていると、ゴブニュートの兵士が慌ててこちらにやって来た。
「は、創様! ここ、これを見てください!」
何か見つけたのだろうか?
俺は言われるままに差し出されたそれを見て、絶句した。
そのゴブニュートの持ってきたもの。
それは、数枚のカード。
「おいおいおいおい、何で、それがここにある?」
それは、俺が作っているカードと同じもの。
俺と同じ能力で作られた、召喚用のカードの束であった。