24-14 赤のツリーグラフ⑥
今回の戦争、どうせなので、『ヒューマン・スレイブ』の補充もしておこうと思う。
ヒューマン系も125枚までストックが可能な軍にできるので、そっち方面を拡充しておけば、今後の行動に幅ができるだろう。
コピーで普通に増やしていく事も可能だけど、その手間を省けるのであれば、それにこした事はない。
コピー、☆2でも何度もすればコストが嵩むからね。
節約は大事なのだ。
伊勢の国に踏み入った。
隠れ里を作る為に動いて仲間と合流し、彼らが見付けておいたならず者どもの集落へと向かう。
3日も時間を空けたから電撃作戦とまではいかないが、軍隊の行動としては速攻の逆撃と言える。
ここから先は敵の防衛網が整う前に敵本拠地に攻め入って、可能ならば一撃で殲滅して後顧の憂いを絶つ。
戦うと言っても無傷の勝利こそ最善であり、無駄に被害を出すような真似はしたくない。
「一撃で」が無理でも、相手に倣い波状攻撃だってやってやろう。
その覚悟で挑む。
表面上でも友好を求めてくる相手であれば、まだ違う方法も可能だったかもしれない。
だが、交渉の目は無いので、まとめて潰す。
「非戦闘員の殺傷はあまりにも非道ではないか」と言われそうだけど、そこで躊躇すると、次の犠牲者を生む。
残念ながら、殺さずに済ませられるほど、俺は優秀ではないのだ。
それをするのは、ここではないどこかで、もっと優秀な誰かにお願いしたい。
今、ここにいるのは俺で、俺が動くと決める状況になった。
外野のヤジなど気にしてはいられない。
案内された場所は、山の間にある、小さな盆地だった。
伊勢の国の入り口である桑名からそのまま西へ進んだところにいくつもある山の中。
そのまま進めば滋賀県、近江の国の日野町に出るのだが、ここはそのちょうど中間のようだ。
はっきり言って、人が集落を作るような所ではない。
しかし、現実に集落があり、人がいる。
「大軍であれば攻め難くはあるけど、こうやって少数なら攻め入って来たところで迎え撃てる、そんな考え方をしていそうだな」
「尾張の国も、伊勢の国が積極的ではないから兵を出せないという事情があるそうです。
「創様が動いてくれるというなら、非常に助かる」と申していました」
この世界、魔法はあるけど、一騎当千の強者というのは見ていない。
かなり強いのはいるんだけど、そこまで人間離れした感じの人はいない。
だから、戦争は数が大事なんだけど。
ここは数の利を活かしにくいというだけの場所に見える。
大軍であれば、桑名が政治的に追い返してしまうんだろうね。その見返りに、ここの連中は桑名には手を出さないとか。そうやって生き残ってきた。
近江の国の日野町側は、単純に兵力不足らしいけど。色々と面倒な連中だな。
集落は複数あるらしい。
一つ一つ、確実に終わらせていこう。