24-12 赤のツリーグラフ④
北海道に人を送り込んだ。
6隻もの中型鉄甲船が旅立つ姿は圧巻で、なかなか見応えがあった。
北海道の海はたまに凍るらしいけど、魔法使いも軍一つ分置いているので、氷を砕いて進む砕氷船(ただし人力)になって頑張って欲しい。
人目に付くだろう篠島で船を召喚する訳にも行かず、駿河の国の、人気の無い海で、俺は手を振っていた。
北海道の件が片付いたというか、やれる事はやったので、一段落付いた。
これで落ち着けると思ったら、伊勢から凶報が届く。
「今度は伊勢のならず者どもが攻めてくるとか。いや、忙しいね」
「陽動の線はありますか?」
「んー。まず間違いなく、陽動かな。
だけど、大狼と一緒に食い破るよ」
伊勢の地にいる、不法入国者な外国人の生き残り。
そいつらが尾張で大暴れしているという。
そいつらの狙いは発電機で、俺が地方に送った物が狙われた。
地方であっても警備兵はいたし、その重要性から守りは堅かった。
警備兵はならず者どもを追い返す事に成功している。
ただ、第二波第三波が攻めてきたらしく、そう何日も持たないと、村に増援を求めてきた。
伝書鳩の性質上、この村を基点にしないといけないからね。最初に俺の所に救援要請が来た。あと、ここから他にも救援要請をして欲しいとお願いされている。
他と他を繋げる伝書鳩は居ないからね。仕方がない。
いや、仕方がない事も無いか。
一方通行で良ければ普通の伝書鳩で十分なんだし、別に俺を頼る必要は無いよね?
うん。ちょっと突っ込みを入れておこう。
パニックになって判断が乱れたという可能性もあるけど、常識的に考えれば俺が救援要請を出す必要は無いよ。
安請け合いしちゃ駄目だ。
救援という事で、足の速い狼に乗る俺が動く事にした。
ああいった手合いは嫌いだし、叩けるタイミングがあるなら、叩いてしまいたい。
連中は癌というか、リスクの塊なんだし、排除できるのであれば躊躇はしない。
迎撃と人道的な救援活動を請け負うついでに、戦闘部隊を送るとしよう。
余計な、潜在的な敵は早めに叩かないと、味方に被害が出てしまう。
敵の攻撃、その本命がどこかに控えていそうな状況であればなおさらだ。
連中を使っているという伊勢の評議会? そいつらがどう出るかは知らないけど、尾張で暴れ回った以上は手加減なんて必要ない。
北海道の革命家と同じく、こいつらも排除してしまおう。