24-11 赤のツリーグラフ③
中陸奥の国とも素早く連絡が取れるよう、伝書鳩が空を飛ぶ。
最近は「この鳩の子供が欲しいのですが、構いませんか?」という質問も飛んでくるぐらい、鳩が空を飛んでいる。
頭が良くて強い鳩なので、似たような事は他からも聞かれるけど、こちらからは「どうぞ」としか言えない。
増やした結果どうなるかは知らないけど、悪いことにはならないだろう。
あと、どうやって調教しているのかも聞かれるけど、そちらはお茶を濁しているよ。
「できるように作りました」とは言わないよ。
だから、誤魔化すしかない。
「生まれた時の鳥籠をもう一つの故郷として認識しているみたいなんですよ」と、嘘か本当か分からない話をするだけにしている。
そもそも、伝書鳩は電波塔、無線通信の技術が普及するまでの繋ぎだからね。
そこまで頑張って採り入れなくても良いと思うんだけど。
あ。
中陸奥の国とは、お互いの船を目印に、釧路に集合で話が付いた。
基本は速攻、大枠として奇襲による各個撃破を目指していく。
細かいことは現地にいるメンバーに任せようと思っているので、現在北海道入している上忍には白紙の全権委任状を渡しておく。
あちらも細かい部分は現地で話し合わせるという事で、基本方針以外は指示を出さないでいてくれるようだ。
是非、仲良くやって欲しい。
俺は北海道の革命家どもを根切りする為に人を派遣するつもりでいる。
船の方は一番艦「大和」、二番艦「武蔵」、以降「金剛」「比叡」「榛名」「扶桑」と、数を6隻まで増やしている。
計画上「霧島」「山城」「伊勢」「日向」「長門」「陸奥」の6隻も造る予定なのは横に置き、今でも500人近く運べる態勢を整えた。
現段階でもかなりの戦力を送り込めるだろう。
人員の方も、調練中の軍だけで5つ。戦隊や部隊も数多くあるので、カード利用枠を人へ全力で割り振れば、合計すれば1000人は動かせる。
そこから大駒に当たる個人戦力も含め、軍3つに補助戦力を足す形で編成しようと思う。
一度に動かせるだけ動かしても、俺の手元には軍2つと他戦力が残るので、こちらが手薄になるという危険性はない。
いざとなれば、手持ちのカードから即興で作るという技も使える。
人員は船の輸送力を基準に、最大数を送り込む予定を組んでも大丈夫だ。
北海道へ派遣する軍の準備はそんなものである。
気になることといえば、伊勢の様子だ。
篠島には多めに防衛戦力を置いてあるが、それだけではなく、伊勢の海岸線を監視する為の人員も追加した。
伊勢の国における隠れ里を、その様に運用している状態だ。
篠島に略奪しに来るようであれば、こちらも素早く対応しなければいけない。
手持ちの戦力を考えれば二正面作戦も十分に可能なんだけど、不安要素であることは間違いないかな。
さすがに、二正面どころか三正面と言われると、どこをどうしていいか迷うかもしれない。
その時は切り捨てる場所を考えるしかないかなぁ。
上限50枚というカード利用枠の制限に引っかかり、俺の対応能力を超えてしまう。
この時期に、伊勢が動かないことを祈るばかりだ。