24-10 赤のツリーグラフ②
北海道から、定期的に報告書が届くようになった。
10日に1回。
伝書鳩が飛んでくる。
この伝書鳩は少々特殊で、村と鳥かごを基点に飛ぶようになっている為、双方向のやりとりを可能にする。
全国に散った隠れ里建設チーム達も愛用していて、長距離からの連絡には重宝しているよ。
「んー。やっぱり、誘拐されているって事で間違いないらしいね」
「死体の数が合わない、ですか」
「それもあるけど、特定の救援部隊が向かった先は必ず全滅しているとか、怪しすぎるでしょ。
あんまり真面目に隠蔽する気が無いようだね」
「……厄介ですね」
「だよなぁ。バレても構わないって事だろうし」
4回目の報告を受け取ると、そこには新しい情報が書かれていた。
そろそろ敵の尻尾を掴んだようである。
下忍衆は、革命軍の一部部隊が人攫いをしていると断定できるだけの情報を集め終えていた。
「それで、どうしますか?」
「この情報を、向こうで広める。人攫いどもは締め出しされても良いと思うよ」
「それは、相手を暴発させるだけでは?」
「するだろうね。そのうえで、中陸奥の国とも連携して北海道に巣食う虫ケラどもを駆逐する」
集まった情報を上手く使えば、革命軍は瓦解するだろう。
彼らは平等を謳って挙兵したにも関わらず、評議会の議員を皆殺しにして政治を混乱させ、無駄に北海道の平和を乱した。
その結果、モンスターが跋扈するようになっただけではなく、その被害を隠れ蓑に悪事を働いた。
どう考えても断罪されるべき悪である。
よってその罪を喧伝し、革命など嘘っぱちだと世に知らしめ、悪を討つことは悪いことではない。むしろ善いことだ。
当然のように巻き添えで死んでいく人も出るだろうが、放置すれば別の人が死ぬだけである。
ならば早く動いた方がいいだろう。
「こっちからも追加の人員を送ろう。船のリキャストタイムも終わっているし、今なら人を送ることも難しくない。
仙台市の評議会に連絡して上手く連携しないとね」
革命軍が何かおかしい事は、仙台市も早々に気が付いていた。俺よりも前から対策を講じていた。
情報収集をする仲間の能力で追い付いたか追い抜いたかしたと思うけど、あっちの方が早く動いていたんだ。
別行動をするより、足並みを揃えた方がいい。
なんか、仙台市の評議会はこちらに対しもの凄く友好的な態度であるし、裏切ってくることは、まず無いだろう。
ちょっと俺を持ち上げすぎな所もあって戸惑うことも多いが、悪い気はしない。
今回の提案に対しどういった反応を示すかはっきりとは分からないが、きっといい結果になると思うよ。