24-6 開発③
面倒な連中に目を吐けられてているかもしれない。
そう考えた俺は、島の防衛網についても考えることにした。
攻められた時の退避先、そして迎撃設備が必要だ。
防衛網はシンプルに考える。
塹壕のような、壁と穴がワンセットになったようなものを、島の外から来る敵を想定しつつ、作っていく。
そしてそれを利用する防衛部隊として魔弓部隊を3つ、魔術部隊を3つ、魔剣部隊を1つ、癒術部隊を2つ、島の専任で配置していく。
カード化は解除するので、彼らには死なないようにと念を押しておいた。
人数的にはそこまで多くないけど、戦力としてはかなり大きい。
それでも相手の人数や状況次第ではかなりのリスクがあるし、戦闘に絶対など無いのだから、細心の注意を払ってもなお足りない。
本当は、政治的にどうにかできればいいんだけどね。
戦って勝つのは2流で、戦闘そのものを回避するように動けるのが最強なんだ。
それができない自分がもどかしいよ。
他にも、防空壕のような地下施設やバリスタのような遠距離攻撃兵器などを設置する。
敵が攻めてきたことを知らせるための鐘楼も作ったよ。
大狼も数頭、島に放した。
ただ、狼だからね。
人間じゃないからね。
島に居ついた野生の狼が、伊勢の方まで行って人を襲っても、それは知らない事だよ。
野生の動物がする事だからね、俺は何も知らないよ?
現状、島には伊勢のならず者がやってくる可能性が非常に高い。
色々と準備したものを見せてしまったので、話に出てきたような悪党であれば、間違いなく奪おうと考えるだろうからだ。
これが尾張や三河の住人であれば、自分たちも身内なのだから、いずれ恩恵にあずかれると考える。
悪さの前に正式なルートで要望を出せるのだ。そちらが駄目ならば悪い事を考えるかもしれないが、いきなり奪おうとするほどの軽挙妄動はあり得ない。
俺の事をやくざ者の大親分と見ているはずなので、メンテナンスの事も考えれば、奪うリスクに二の足を踏むだろう。
最低限の備えが早急に必要なのだ。
それと、備えではなく先制攻撃の準備も進める。
一回の攻撃で相手を根切りにするのは難しいだろうけど、徐々にやれば逃げられる可能性が高いので、ここは一気に攻め切る方針で行く。
言葉は悪いが、こういった手合いは、人間であって人間だとは思えない。
トンチのような言い方だが、心が人間ではない以上、見た目だけ人間の別物だと割り切ってしまう。
会話が成立しない相手であり、明確に被害が出るのなら、躊躇するのは身内に死ねと言うのと同じなのだ。
本当にそこまでする必要があると思った時点で、俺は決断する。
その決断に必要な準備を、今から進めておく。
綺麗事は言わない。
身内を守るためなら、鬼になろう。
出来なければ、親しい誰かが死ぬかもしれないのだから。