23-20 航空機②
飛行機を自作しようという気には、さすがにならない。
それがどれぐらい高度な品なのかは分かっているし、知識不足もこれまで以上。
どれだけ魔力があっても足りないし、挑戦してから、形になるまでどれぐらいの時間が必要かも推測できない。
今までは推測からの計画を立てて、その計画に沿って動いていたから良かった。
だが、行動計画書が白紙のままで進めた場合、どのような結果になるか想像できない。
俺は無計画に行動を起こす事も多いが、それでも短期間で終わるだろうという見込みを基に動いている。
飛空機はお手上げなのだった。
「うーん。それなら、こういうのはどうですかね?
自分、カード化解除されて、その状態から、飛行機を自作するんですよ。多少の人手と資材は融通してもらいますけど、それなら創様にもそんな、ご迷惑をおかけしないと思うんですが」
俺に脈無しと見切りをつけたエンジニアは、なかなか面白い提案をしてきた。
こちらにかける負担を最小限にしたうえで、自分で飛行機を作って見せると。
そうだね。それなら、飛行機を作らせても良いかもしれない。
材料、部品を用意するのに多少は手を貸すが、コストが魔力的なものというより、材料費のような扱いになる。
巻き込まれるのが確定のスミスらには申し訳ないが、それならやってみてもいいと思える。
「カードに頼らず、自力で飛行機を組むのか。それならいいよ。スミスとかにも話を通しておくから、やってみるといい。
いや、面白くなってきたね」
「うっす! じゃあ、今から設計図を描き上げるんで、失礼します!!」
「もうかよ!? って、おい!」
しばらく考えてみたが、悪い話ではない。
こちらの、俺の手を取られないようであれば、やらせてみてもいいだろう。
そう思って許可を出したら、エンジニアは返事と同時にダッシュでどこかに走り去っていった。
俺は、自分で飛行機を作る気にはならない。
ただ、ノーコストでなくとも楽をして飛行機が手に入るなら、それに越したことは無い。
時間と労力を無駄にする可能性は否定しないが、何か始めなければ何も手に入らず、状況は悪化していくだけ。
失敗で失うものが小さいのであれば、ここは動いても良いだろう。
「ま、一人では大変だろうから、人手は追加しておくかね」
このような大仕事を任せるのが、エンジニア一人というのも寂しいだろう。
エンジニアを1チーム追加し、支援させるか。
あと、専属のスミスも一人ぐらい居た方がいい? そいつらの暮らす家も用意しないとな。
他には……アルミでも量産しておくか。軽量化なら、鉄ではなくアルミのフレームだろうし。
飛行機の基本は軽量化だからな。
フレームに貼る板に鉄を使えば、その分重くなるので、飛ばすのが大変になってしまうのだ。
出来る所から部品を軽くしていこうか。
……個人用の飛行機は、今回みたいな大人数には対応していない事実から、目を逸らしつつ。