23-19 航空機
船が使えない、これは俺の怠慢かなと思う。
俺は一度の情報収集で知りたいこと全てを入手できるという前提で予定を立てており、今回みたいな二度目を想定していなかった。
一回で調べきれない可能性を考慮して、船をもう一艘用意すべきだった。
大いに反省が必要だな。
時間はかかるが、今からでも船を用意しよう。
エンジンとかその辺からコピーして組み込みとかもするから、2週間はかかるだろうな。完成品をコピーするよりは低コストだけど、大和は☆の数が多いから。
やれやれ、だ。
「創様。これはここで?」
「そうそう。シャフトを潜らせて、軸がブレないように固定して」
機械パーツはコピーしている物が多いので、下手な現代の品よりも使いやすい。
個別の癖がなく、完全に同一のパーツだから、組付の精度は作業者の腕で決まる。部品のせいにはできない。
今後も活躍の場面があるだろうから、新しく用意した『ゴブニュート・エンジニア』。彼に色々と教えながら、エンジンを組み立てる。
「それにしても、海路から陸路にするだけで、移動時間が10倍とか。五代さんらも大変ですねー」
「あまり言わないでくれ。反省しているんだからさ」
作業中の、ちょっとしたお喋り。
俺は陸路を行く五代らの話題を振られ、苦笑いをする。
このエンジニア、思ったことをすぐに口に出すタイプで、こちらへの配慮が無い。
こうやって耳に痛いことも平気で言う。
「ああ、すんません。そういうつもりじゃなくて。
これが空路になったら、もっと早く移動できるんですよねぇ、って話です。挑んでみません?」
「無茶を言うな。前提になるものがかなり足りない」
そして、平気で無茶を言う。
初期の航空機、例えばライトフライヤーを作るには、アルミのエンジンを作るだけではなく、航空力学を考慮したボディも必要なんだぞ。
ある程度の形は知っているけど、細かい部分はまったく知らない。エンジンをどこに積むのだとか、そういった大事なところは覚えていないのだ。無駄で無謀な挑戦になる。
「いや、創様なら、形にしてからカード化で合否確認するだけでも構わないのでは?
カード化で魔力を使うだけなら、そこまで大きな負担じゃないと思いますが」
「それでもね。他にも無線通信とか、色々と足りない技術が多いんだよ」
「電気系ですかー。外に広めて、そっちで再現してもらえたら、どうですかねー?」
エンジニアは、やってみたいからと飛行機の話題に食い下がる。
電気関係、それをもっと普及させれば楽になるんじゃないかと言い出した。
それは今もやっているが、まだ結果に結び付かないだけである。
こちらは魔力がカツカツな中で頑張っているんだから、あまり無茶を言わないでほしい。