23-18 陸路2ヶ月
五代たちを再び送り出したが、今度の情報収集は移動に時間がかかる。
船ではなく陸路というのも大きな理由だが、それよりも、もうすぐ冬だから大変なのだ。
雪の少ない太平洋側を通るように言っておいたが、東北方面は基本的に豪雪で知られている。
日本海側よりはマシだからと言って、その影響が無いなどという幸運は考えられない。
そして、雪の中の移動が大変なのは、誰でも分かる事だ。
これが船での移動であれば、かなりマシになる。海の移動は雪の影響を受けないからだ。
悪天候が大変なのは陸路でも同じ事なので、トータルで考えれば、陸路よりも船の方が優れていると言っていい。
これで線路とか高速道路とかが出来るようになればまた話は変わってくるんだけどね。
それまであと何十年かかる事やら。
そうやって冬に陸路を使えば、北海道までの移動には2ヶ月かかると、俺は思っている。
船を待った方が良いのではないかと思わなくも無いが、どうせだから、道中でも情報収集をしておいて欲しいと言い含めてある。
そうする事で、五代たちが移動したという痕跡を強く残そうという訳だ。
深く調べれば、出発点がゴブニュート村である事が分かるだろう。
そして、それよりも前の痕跡が無い事も調べが付く。
また、村を出る少し前に、彼らが北海道にいたという話を探り当てる、情報通も現れるかもしれない。
そうなると、面白いものが釣れるだろう。
これはちょっとした布石だ。
情報収集を早く確実にしたいというのも本当だが、どうせ手間暇かけるのであれば、ついでの一手も指しておきたいところ。
一つの事をやるだけでは、時間がもったいない。
それに、これは五代たちには良い経験となるだろうからね。
旅先、実践で磨く技術。それを獲得してほしい。
準備と休息に5日ほど。
少々慌ただしいスケジュールだが、五代たちは再び北海道へと向かっていった。
今度は三河経由で、太平洋沿岸を歩いていく事になる。
駿河の国までは大狼が同行して荷運びを手伝う。おそらく、そこまでは駆け足で行けるはずだ。
道中にある武蔵の国などは通るけれど、スルー。いや、普通に通るだけか。
南・中・北の陸奥の国3つを経由するコースでは、縁のある中陸奥の国で一回休養を取り、その先の雪道に挑む。たぶん、中陸奥に着いた頃に1ヶ月かな?
そして本州最北端の奥州から北海道に渡る。青函トンネルは埋まっているだろうから、船を出してもらう事になるだろう。
中陸奥を出てから北海道にたどり着くまでにまた1ヶ月かかり、合計2ヶ月と言う予定である。
細かい部分は天候に左右されるので、断言はできないけどね。
またしばらくは軍の調練の日々を送る事になる。
俺は訓練漬けだな。少しでも生存能力を高めるために。
できれば、危険を素早く察知し、危険になる前に対処できればいいんだけど。
それが出来なかった時の備えは、なかなかどころか、とっても大変なんだよなぁ。
もう少しだけゆっくりとした生活がしたいけど、「ダラダラしていたらいざという時に動けず死んでしまいました」なんて事になったら笑えないし。
ままならないとは思うが、平和ボケしないように気合を入れないとね。