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23-8 甲鉄艦⑧

 これは、見なかった事にした。

 正直なところ、ここから追加の改造をするのは難しい。

 ただ大きさを求めると、詰む。

 それが理解できただけでもやった甲斐はある。良かった。保険でコピーをしておいて良かった。



 そんな訳で、テイク2だ。


「先に船外機を作ろう。いや、この段階で、推進装置を組み込むか?」


 これまで手を出していなかった、ガソリンエンジンを作る事にした。

 電動式? 数日間連続使用可能なバッテリーが作れないので無理だよ。一日でも難しいからなぁ。



 ガソリン相当の燃料は、すでに作れたりする。

 火薬草の親戚みたいな植物で、燃料になる木、『燃木(ねんぼく)』という木を作ったのだ。


 この木は樹液がナパーム用の油のような性質を持ち、一回火が付くと非常に長く燃え続ける。水をかけてもなかなか消えない。むしろ土をかけないと駄目な奴だ。

 で、この樹液に別に作った木の樹液を混ぜると、ガソリンのようになる。揮発性が高くて、よく燃えるサラサラした液体になるのだ。

 全部植物素材なので、管理さえきちんとすれば延々と手に入る。

 植物素材だけど、エコかどうかは知らない。



 樹液ガソリンは、残念な事に俺が内燃機関に手を出していなかったので、作っただけで、そこまで活用していない。

 爆弾とか、そういった方面を強化しようと思って作っただけだからしょうがないよね。


 車を作ったところで道が整備されていないから、そこから先に進む気力が尽きたとも言う。

 車の為に道を整備するような気にはならないのだ。線路を引くなど、そういった気分にもならない。





 船に取り付けるガソリンエンジンであれば、樹液ガソリンも活用できる。

 手持ちの素材を活用する為にも、ちょっと頑張ろう。



 ガソリンエンジンの機構は、直列エンジンタイプならそこそこ簡単だ。横に長くなるが、作りやすい。

 これがV型、シリンダをV字型に並べるタイプだと、頑丈で小型にできるけど、部品点数が多く構造が複雑なので作りにくい。

 正直に言えば、俺はV型の細かい構造を知らない。車のプロではなかったようだ。ベンツのV6エンジンを見た事があるようだが、外観しか知らないのだ。



 直列シリンダだのエンジンはV型と比べてマシではあるが、それでも芸術品のような工作精度を要求されるので、作るのが難しい事には変わりない。

 ガソリンエンジンの中ではマシ、と言うだけなのだ。


 「吸入」「圧縮」「燃焼」「排気」の4ストロークエンジンを横に並べるだけだが、工作精度が低いと互いの動きを邪魔したり、そもそもシリンダの上下運動で発生する摩擦と摩擦熱が大きくなる。

 熱勘定、エネルギーの仕事変換効率を高める為には、mm単位の誤差など論外で、μm単位の誤差に落とし込まねばならないのだ。

 さすがにそのレベルの工作精度を出す事は村のスミスでも難しく、工作精度のレベルを引き上げる為にはカードの力に頼らないと駄目だ。


 いや、普通に考えると、鍛冶師の仕事ではないからしょうがないよね。

 大雑把に、とりあえず数回でもいいから動かせる程度の物を作らせ、完成を待つ。

 数日で壊れるレベルであっても、シリンダ単発であっても、できるまでには数日かかるようだ。言ったらすぐ出てくるとか、そんなものではない。



 物が出来上がるまでの間に、仙台市との取引や交渉などを終わらせるとするかね。

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