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23-6 甲鉄艦⑥

 仙台市には甲鉄艦の船体に塗る塗料を渡し、製鉄用の炉を作る。

 その対価に情報を得る作戦であるが、実行まで少し時間が空いてしまった。

 「何でいきなりそこまで出来るんだ?」と言われない為のアリバイ工作である。


 何でもかんでも、早くできれば良いというものではない。





 その空いた時間に、人を送り込む準備をしようと思う。


 戦闘系の部隊と下忍衆を送り込むとして、その移動には俺たちも船を使わせるつもりだ。

 勿論、自前の船である。



 以前、三河で10人まで乗れる船を購入した。

 このままではいけないので、色々と拡張する必要がある。


 三回大型化の強化をして、40人ぐらい乗り込めるようにする。

 するのだが、その前にこの船にも装甲板を張り、甲鉄艦とする。カードの強化で大きくするのはその後の方が都合が良いだろう。

 勿論、さび止めの為に塗装もするよ。



「ある程度で良いよ。強化した段階でちゃんとした装甲になるから」

「けど、それだと無駄に魔力を使うんでしょう? なら、ちょっとでも上手く貼って、魔力を節約しましょうよ」


 俺がするのは、物を用意するところまで。

 実行は実際に乗る連中に任せる。


 全長が7m級の船なので、何十人も群がって作業すると、効率が悪くなり作業が遅れる。

 男衆の10人ぐらいが協力し合いながらステンレス製の板を張っていく。


 力仕事は男の領分だというわけではなく、そういった事ができるのが男だけだったので、男だけで作業しているのだ。

 金槌で釘を打つのは、やっぱり男の方が得意なのだ。

 女衆は飯の用意など、他に出来る事をやって男たちをサポートしている。

 これは性差別ではなく、得意分野を活かした役割分担である。



 ステンレスの板を張っていく時に、どうしても船体とステンレスの間に細かい隙間が出来る。

 そういった隙間があると強度不足になってしまうので、できるだけ隙間は小さい方が良い。

 そんな理由で、男たちは板を船体の曲線に合せてこの場で軽く加工していく。


 こだわりの職人芸であるが、そこまで手間をかけるべきだろうか?

 綺麗な仕上がりであれば強化する時に消費魔力が僅かに減るのだが、正直、微々たるものなので俺はあまり気にしていない。

 手間を惜しんで良いと、俺は言う。



 だが、実作業に当たる連中は、そんな手抜きは出来ないとばかりに、完璧な仕事を披露する。実際、板張が完了した部分は板と船体、板と板の間がぴっちりと埋まっていて美しい出来映えだ。

 時間をかけているけど、それに見合ったクオリティである。


「そこまで急ぐものでもないでしょう? なら、気持ちいい仕事をしましょうや」


 まぁ、子供の工作ではなく、職人の逸品は見ているだけでも感動がある。

 徐々に金属に覆われていく船は、素晴らしい出来映えになると確信できた。


 問題は、無いか。


 確かに、焦る必要は無い。

 その後の塗装まできっちり行なわれた俺の船は、新造艦のように美しい姿になるのだった。

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