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2-14 他の人の魔法

 今回の猪退治は、夏鈴たちに加え神戸町の若者――と言っても俺と同年代――5人に加え、蓮見さんを連れて山に登った。

 前回ほど猪が集まるかどうかは知らないけど、これで猪の持ち帰りは大丈夫だ。


 カード化すれば何の問題も無く運べるけど、「じゃあどうやって運んだんだ」って突っ込まれるからね。

 どれだけ狩った、それを見てもらおうと思うと、やっぱり人手って大事なんだな。



 水に関しては俺が用意するが、それ以外は自分で持ってくるように。


 そんなルールで付いて来てもらったけど、蓮見さんは他の人に荷物を預け、身軽な格好だ。

 そこは特権階級というか、特別扱いの魔法使い。いや、単純に体力低めの女性だからか?

 とにかく、この中で唯一自分の荷物を持たずに蓮見さんは付いて来た。


 夏鈴とかも、自分の荷物は自分で抱えていたんだけどね。

 見た目少女よりも大人の蓮見さんだけが荷物を抱えていないのは、外から見たらちょっと物申したくなるだろう。

 まぁ、猪退治で魔法を見せてもらう予定なので、細かいことを正面から言う必要もないけど。





 山にある程度登ると、俺は前回も使ったドングリを取り出す。

 猪寄せのドングリだ。


「へぇ。これで猪をおびき寄せるのね」

「ええ。細かい事は知らないけど、こいつの匂いって猪を興奮させるほどいい匂いみたいなんだよ。

 だから、これを――こうして、軽く炙ってから埋めておくと面白いぐらい猪が釣れるよ」


 俺はドングリを地面に置くと、『リトルファイア』で軽く炙り、匂いが強くなったところで土をかぶせる。

 蓮見さんはそれを面白そうに見ていたが、準備ができた段階で俺と一緒に持ち場についた。


 一応、『マナボルト』の射程内で適当に隠れておくのだ。

 攻撃担当の莉奈とは一直線上にならず、互いに誤射しないような場所である。



「蓮見さんのマナボルトは、3回でしたよね?」

「そうよ。莉奈ちゃんは5回だっけ。凄いわよね」


 集まる数にもよるけど、魔法だけで倒していては手数が足りなくなる可能性がある。

 俺も参戦すればいいんだけど、俺は今回、『マナボルト』は使わない。『リトルファイア』は見せたけど、そこは隠す方針で行く。あと、水のカードも水を出す魔法として見せるけど、今回はここまでなんだよね。

 多少は疑われるだろうけど、あえて見せる理由も無い。

 全く見せないのは逆に不自然だから、ちょっと見せるだけなんだよ。



 身を寄せながらそんなことを小声で話していると、最初の猪がすぐにやってくる。ドングリに向かってまっしぐらだ。


 現れた猪が結構な大物なので、魔法で片を付けることにする。

 俺は合図を莉奈に送ると、莉奈が猪の側頭をマナボルトで吹き飛ばした。


 猪の頭は固く、鉄の棒で一回二回殴ったところで怯みはしないが、マナボルトの威力はかなりでかい。

 貫通こそしなかったが、頭の一部をえぐり飛ばした。即死である。



 まずは、一頭。

 俺たち男性陣はすぐに猪を回収し、何人かは離れた場所で血抜きと熱さましを行う。



 そしてその後も小物を挟みつつ時々大物を魔法で倒していくのだが、魔法の威力に関しては莉奈の方が強いらしく、蓮見さんの魔法は微妙であった。

 もっとも、即死とまではいかなくても頭にキツイ一撃を食らわしてくれるのは間違いない。わりかし安全に猪を狩れるという意味では悪くない結果か。

 逆に、脳震盪的な状態に持ち込むだけで大きな傷をつけない蓮見さんの魔法のほうが綺麗に倒せているという見方もできる。


 小物に関しては普通に武器で狩るという事で、後ろから思いっきり槍を突き立てて殺している。

 食事に夢中なので、面白いぐらい簡単に殺せるので、通常の狩りと違い、遊び感覚で猪を屠っていく。


 魔法が打ち止めになった後に関しては、大きめのハンマーで頭を叩いて怯ませ、できるだけ頭だけ潰して殺すようにしている。

 腹を攻撃すると、内臓が潰れて肉がダメになるからね。できるだけ腹にダメージを与えないように殺すのが、高く売るコツなのである。

 もちろん自分たちの命が最優先なので、怪我をしそうであれば何も気にせず殺すけど。



 そんなこんなで、俺たちは朝に移動、昼前から狩りを開始し、夕方までに17頭もの猪を狩ることに成功した。

 途中で、また追加人員を確保する必要があるほどの結果である。


 血抜きが終わったものから順に町へと運んだが、今回は大物が多かったので、前回以上に大変だった。

 たった一ヶ月でも猪は大きくなるという事だ。

 ついでに、大きくなった猪が行動範囲を広げるという意味でもある。

 春先は本当に大変だ。





 こうして俺たちは前回同様のもてなしを受け、ついでに俺は俺たち以外の魔法使いが魔法を使うところを間近で見る機会を得て、非常に満足するのであった。


 やっぱりね、チヤホヤされるのって気分がいい。

 なんと言うか、チヤホヤされるのは人から認められているって感じがするのと、なんか特別な存在になった感じがね、嬉しくて調子に乗りたくなってしまう。



 まぁ、それでも神戸町に根を下ろすつもりは今のところ無いんだけど。

 隠し事満載だからね。今まで通り、引きこもっていた方が気楽でいい。


 他の人とは、たまーに関わるぐらいがちょうどいいんじゃないかな。

 神戸町の人も俺を毎日特別扱いするのは大変だろうし、俺みたいなのは厳しい時にちょっともてなしていいように使うぐらいがベターでしょ。


 共存共栄。

 共同生活はしないけど、上手くやっていきたいものだね。

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