22-26 嫌いな男
無人島ならぬ有人島を貰ったので、そちらの管理が俺の仕事に加わった。
と言っても基本的には丸投げするだけなので、何が変わるという話でも無いんだけどね。
俺がやる事と言えば、いざって時の為の物資集積と、簡単なインフラ整備ぐらいだ。あと、それを管理するための住人を送り込むぐらい。
現地から税金は取る気にもならないので、税金はゼロに。元から住んでいる人たちはその分だけ生活が楽になると思うよ。
追加の住人? 認めるわけないよ。
商業に関してはニノマエがあるし、元からの付き合いがある所は現状維持するけど、新規参入を認めると税金関連の話が面倒くさいので、移住はお断りです。
島を脱税の温床にする気は無いんだよ。
元から人がいる島を開拓するのって、某無人島開拓と、どちらが難易度が上なのかな?
岐阜市の方がキナ臭いというか、敵対路線を進みつつあるという情報を貰ってしばらく経っている。
こちらから仕掛ける気は無いけど、相手の方がやる気満々というか、俺から搾取するつもりで何かするかもと思っていた。
だけど、国主の斎藤から議員の名簿と、それに対応した髪の毛が送り付けられてきた。
斎藤からは、俺と敵対したくないというメッセージとともに、この中にまたドールが紛れ込んでいないか確認してくれというお願いがかかれている。
俺と敵対しようとしている連中は、操り人形にされた疑いがあるからだ。
「なーんか、いいように使われている気がしないでもない」
「必要な事と分かってはいますが、面白くないのは確かですね。どうせですから、検査費用を請求しましょう」
私的なお願いではあったが、やるかやらないかでは、やる方が利益を出せる。
だからやらざるを得ない。
しかし、一方的に相手の都合で動かされているような気分になるので、俺はいい気がしない。
器が小さい話だとは思うが、頼まれて「はい分りました」という関係を作りたくないんだ。特に、斎藤のような人間とは。
何と言うか、俺が相手の下について、斎藤のいいように使われる部下のような扱いを受けるのに納得できない。
だから、せめて費用請求する事で関係を対等に持っていく。
頼みごとをするなら、代金ぐらい払えと。
それが無ければ情報は教えてやらない。
斎藤とは「グダグダ」とか「ズブズブ」といった言葉の似あう関係ではなく、もっとドライでビジネスライクな間柄が望ましい。
あと、出来るだけ直接的な関りを持ちたくないので、浅野さんや大垣の署長さん経由で話を持っていく。
俺と斎藤の関係は、それぐらいがちょうどいいと思うのだ。