22-24 外との関係③
この数ヶ月間の間で、尾張の国との関係で何かが変わっただとか、そういった話は無い。
ただ、村に電気が通っているのを知られたので、その普及の為の打診を受けたぐらいだ。
こちらに関しては、魔法による発電という事で、凛音の魔法教室に通って貰う事で話がついている。
魔法使いの確保は急務であり、多大な恩恵が期待できるので、手を抜かず励んで欲しいところである。
三河の国も、国への対応としては似たようなもの。だ
三河の国そのものと俺の縁はそこまで深くなく、国への対応という意味では、尾張の国よりやや劣る程度の付き合いだ。
尾張の国とは、一応だけど国主と面通しをしたからね。その分だけ、差があるんだ。
ただ、三河の国には堀井組があり、そちらには国よりも優先している事が多々ある。
凛音の魔法教室に通わせるのは大変だろうからと、魔術部隊を一つ編制し、そこで魔法を教えているからだ。
国が主体と地方組織が主体とでは、魔法使いの扱われ方に差が出る。
まぁ、そこは堀井組が上手く調整すればいいだけの話なので、俺は堀井組に便宜を図るだけである。
そうやって、各地に派遣している人員の大半は、カードから解放された、元カードモンスターの面々だ。
こちらの制御は完璧では無いし、カードモンスター時代、その頃に俺との関係を確かにしていないので、俺の言う事に従ってくれているのは打算の方が強いと思う。
遠方への派遣と言う事もあり、裁量権は十分に与えている。現地で無体な扱いはされないと思うが、いざという時は現地の人間と敵対してくれてもいい、村に逃げ込んでしまえと伝えておいた。
彼らの様子を時々でいいから見に行く、話を聞きに行くぐらいはした方が良いと思う。
カードから解放はしたが、身内である事には違いが無く、俺の庇護対象なので当然だ。
できれば何事も無く幸せになってくれるといいんだけどね、そんな願いはいつだって儚いんだよ。幸せだけが続く人生なんて、早々滅多にあるものではないのだから。
魔法使い関連以外では、堀井組などに頼んでおいた依頼で、達成報告が来た。
無人島の一つを領有したいと、そんなお願いをしてあったんだよね。
時間はかかったが、漁師達が使うような島を一つ、尾張と三河の両国から正式に貰い受けた。
何故か、有人島を。
「どっちの国が領有するかで揉めていた島っす。なんで、オジキが預かり有効活用するのが一番だって事でまとまりやした」
「うん。いい感じに距離も近いし、悪くないね。
でも、本当にいいのかな。この島、かなり大きいんだけど。あと、漁師村があるんだけど」
「まぁ、漁師村はそのまま統治してもらうっすけどね、それ以外は、自由にして貰っていいって聞きやした」
島の場所は、尾張側の日間賀島と三河側の佐久島の南にある、篠島。
国が2つに割れた後、そこに住む住人の意見も聞かれず、奪い合いになりそうだったんだとか。尾張の国主、村河さんも、この島に関しては引けなかった模様。
しばらくは中立扱いで水面下で争っていたのだが、それが今回、俺に任せる事で話がついた。
「半分は、オジキを自勢力に取り込む為の準備っすよ。どっちも、これでオジキに恩を売ったって言えるっすから」
紐付きの島であるが、いい島である。
悪くはない。
あと、この両国が所有していて俺に渡せそうな島は他にめぼしい物が無いという、そんな事情も教えられた。
俺はしっかりと記憶していなかったのだが、愛知県に村が作れそうな島は、ほとんど無かったらしい。
島が欲しい場合は、九州や四国とか瀬戸内海側に行く方が現実的なようだ。
もしくは、三宅島などのある神奈川県方面だろう。所属は東京だけど、移動を考えると神奈川の方が、ね。
島の所属に関する細かい話は、俺のあずかり知るところでは無い。
こうして俺は、尾張・三河方面で島を1つ手に入れたのだった。