表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
566/729

22-18 燻る不満

 時間のかかる農作物だけではなく、別方面の利用も行った。


 これは大垣でもやっている事だが、真っ白な灰であれば、集めて糊で固め、チョークモドキにする。

 黒板さえあれば、白のチョークとして使えるよ。

 その他の色に関しては、糊に混ぜる染料さえあれば作れるけど、今のところ需要は無い。

 そもそも、チョークだってそんなに使わないので、チョークそのものの需要が小さい。


 そしてこれは俺のカード能力が前提になってしまうが、灰に圧力と熱を加え、結晶化させることも試してみた。

 灰を固めた所で宝石のようにはならないのだが、それでも岩か何かのようにはなる。

 灰の石だから「石灰」という事にはならないが、それなりに似たものに仕上がった。


 ただし強度が低く、これ以上の性質変化を求めるためにカードの強化と合成を使ってみたところ、『灰晶石』という、新アイテムが出来上がった。

 この灰の岩は、宝石の原石相当らしい。初めてスペルカードを合成できたのだ。



『灰(+3)』 → 『灰の岩(+3)』 + 『マナ・ボルト』 → 『灰晶石』



『灰晶石』:アイテム:☆☆☆:小:10日

 曖昧な魔力を秘めた水晶。持つ物の魔力を僅かに増幅する。



 曖昧な魔力……。

 ちょっとではなく、全く意味が分からない。

 これが『魔晶石』であれば「純粋な魔力」で、『癒晶石』なら「治癒の魔力」となるのだが、「曖昧な魔力」ってなんだ?


 一応、晶石系アイテムになりはしたが、ここでこのカードも進化や合成の材料にできなくなったので、このルートもここでストップ。

 他の晶石系アイテムであれば『魔法使いの杖』と合成して『魔術師の杖』にできるんだけど、それもできない。

 名前やテキストは他の晶石系アイテムと同じなんだけど、何かしら、系統が違うようでもある。

 今は合成先が増えた事を喜ぼう。


 この結果を使って、ちょっとした思い付きを試す。


 魔晶石を灰で包んで、包んだ灰を灰の岩に作り替えて……ここでもう一度灰晶石にしようとしても、上手くいかない。

 灰の岩で包む石を火晶石や癒晶石に切り替えても、晶石系アイテムを内包した灰の岩は灰晶石にできない。

 おそらく形状が理由で、灰晶石にならない。スペルカードを変えても反応は無かった。


 この方法で灰晶石の中に別の魔力が包まれている、という事は言えないようだな。残念である。





 なお、これだけの結果を出すまでに、灰の研究を3カ月ほど続けている。

 俺としてはまだまだだが、夏鈴は「別の研究をした方が良かったのでは?」と、そろそろ疑問に思い始め、ちょっとだけ目に見える利益・成果が欲しいなと思う次第である。


「研究は、時間がかかるし、途中で利益を得られない事も珍しくないんだよ?」

「そうなのでしょうが……少々、寄り道が過ぎているような気もします」


 夏鈴をほったらかしにしているつもりは無いけど、夏鈴は研究を黙々としている俺の姿を見て、ちょっと不満を溜め込んでしまったようである。

 夏鈴自身はよくある「仕事と私と、どっちが大事なの!?」というお花畑さんではないが、それでも放置されているような気分になるのか、悲しそうだ。


 うーん。どうにかならないものかなぁ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ