22-14 灰は灰に非ず
花咲か爺さんやフェニックスの逸話は、再誕や蘇生に関する灰の物語である。
これを突き詰めれば、自動復活系のアイテムを狙える。
灰のマジックアイテムを研究するというのは、悪い事ではないと思う。
それに、灰に関するもう一つの話がある。
エクソシストネタだったか、「塵は塵に 灰は灰に 土は土に」って有名な言葉だ。
実際に使われているのは葬式の時で、牧師さんとかが言っているらしいね。
原典は聖書で、アダムとイヴが楽園を追放される時に神様が言った言葉だとか。勝手にリンゴを食った後の話だよ。
この時の言葉には色々な解釈があるけど、「不死身の人間とは不自然な存在で、土から生まれた人間はいずれ土に還る事こそ自然なのだ」と読むこともできる。
何が言いたいかというと、灰は再誕などだけではなく、その真逆の意味も持つのだ。
よって不死を否定するアイテムにもなるんじゃないかな、と。そんな気がする。
そんな訳で、割り込みにはなるが、灰の研究を先にしようと思う。
「旦那様の命を守るための研究。いいですね。優先して行うべきです」
また研究が横道にそれるので、夏鈴が何か言うかもしれないかと考えていたが、そんなことは無かった。
研究内容が俺の命を守るためのものだと知ると、笑顔でゴーサインを出した。
俺が死んだ後に夏鈴たちがどうなるかは分からないけど、俺が死なないようにするのは重要で最優先事項だと、そう認識しているからだ。
これは夏鈴のみならず、他のメンバーも同じである。
基本、カードモンスターのみんなは俺の命を大切にする。
俺を守ろうとするのはカードモンスターの本能か何かなのかね? それとも、仲良くなったからとか?
助かるんだから、理由なんてどうでもいいけどね。
では、灰の強化をしますかね。
当たり前だけど、灰には肥料と断熱材といった使われ方をしても、回復アイテムとしては効果無しである。
単体では使えないように見える
だけど、灰は洗剤として使う事も可能である。
油と混ぜて石鹸に、といかなくてもアルカリ溶液を作り、手洗いに使えなくもない。
ただ、効果が強すぎて手荒れをまねきかねないと、そんな欠陥があるだけだ。
回復アイテムではないが、体を清潔に保つという事で、浄化系アイテムとしてなら使えなくもない。
単独強化で、灰を身を清めるアイテムに作り替える。
『灰+3(清潔化3回)』 → 『清めの灰』
『清めの灰』:アイテム:☆☆☆:微小:1日
清めの灰は、神事の前に神職から汚れを祓うために用いられる。
神の前に臨むのなら、この灰を被り、清水で洗い落とすと良いだろう。
うん。
意外と面白い進化をしたね。
今度はそのまま、魔力への親和性を強化する。
『清めの聖灰(+5)』:アイテム:☆☆☆:微小:1日
清めの聖灰は、神事の前に神職から汚れを祓うために用いられる。
神の前に臨むのなら、この聖灰を被り、聖別された水で洗い落とすと良いだろう。
あー。進化無しで名前が変わり、これ以上の強化や進化ができなくなった。
ルートを間違えたか何かかな。
それとも、灰の元のスペックが低かったか。
やり直しだな。
灰はまだたくさんあるし、これはこれで横に置くとして、別の強化で試してみるか。