22-13 異世界式ゴミ問題④
大量に手に入った灰だけど、神戸町で農業・畜産をしている爺さんに相談することにした。
経緯が経緯なので、一回ぐらいは話をしておいた方が良いだろう。
「ゴミの焼却灰か。また面倒な物を引き取ったなぁ」
「普通に処分する事もできるんですけど、他に何かできることは無いかなと思ったんですけど。
とりあえず、一度家屋の断熱材として使ってみようかと思います」
「壁と壁の間に入れれば断熱材になるが、その分強度が落ちる。なかなか難しいぞ。塗りこむのは脆くなりすぎるから、止めておきなさい」
「そうなんですよね。どうしても壁が分厚くなるので、そこを考えないと何ともなりません。開き直ってもいいんですけどね」
「もう燃えないのだから、火災対策にもなると言って土壁に塗り込んだのもいたが……あまり良い結果にはならなかったのぅ」
爺さんからは、灰を使った素人建築がいかに危険かを力説された。
ときどき話がリアルと言うか、実体験に聞こえるんだけど、そこはスルーした。
農家さんも、ゴミはたくさん出るからね。処分方法を模索したんだろうな。
「枯れ木に花でも咲かせられればいいんじゃが」
できることならもう全部やっている。
そんな状態の爺さんから、農薬・塗料のような使い方を教わり、他にも小技を習ったりした。
爺さんは可能な限り灰を消費している。
けど、それでも毎日増える灰には追い付かない。
そんな苦笑いしかできない状態で、爺さんが冗談を口にした。
昔話の「花咲か爺さん」のネタである。
灰を撒くだけでもう花が咲かなくなった木々を甦らせる。
荒唐無稽な、昔話としてはありきたりの、勧善懲悪物語。
理屈ではなく善人であれば良いことがあるというお話。
「魔法とかあるんだから、灰で花が咲いてもおかしくはないかもしれませんよ?」
こちらも冗談で返しつつ、言われた言葉を反芻する。
灰による復活か。
フェニックスも似たような話だよな。灰の中から甦るわけだし。
俺の場合、仲間ならカード経由で復活させられるので、そういった研究はほぼしていないけど。俺が殺されたときの保険になる自動復活なら、研究する価値はあるかもね。
灰をただ強化しても、それで復活アイテムを作れるとは限らない。
何かしらの工夫、材料の追加がないと、進化できないカードになって終わりとか、そんな結末を迎えるだろう。
魔晶石の粉末化に関する研究はやってたよな。魔術部隊が作っていた、初期の砂粒サイズの活用法方として。
灰と混ぜて……何か作れるかな?