22-12 異世界式ゴミ問題③
普通のゴミは燃やすかリサイクル。
マジックアイテムは厳重に監視した方が良くて、捨てられない。
村の方のゴミ事情はそんな感じだ。
そして、町とか都市規模になると、話が全く違ってくる。
出るゴミの量が半端じゃないからだ。
200人ぐらいの村と、数千人とか万単位の町などでは、同じ手法が使えないのだ。
大量に発生する灰などが厄介なのは村でも気にしていた事だけど、町のゴミを燃やした灰は、それをさらに上回る。
川に流して知らん顔、とはいかないのだ。
……やった場合、量にもよるが、下流の魚が死滅しかねない。
現代日本のゴミ処理で出た灰であれば、重金属を大量に含んでいてとても危険なのだが、それでもいくつかの処理を施しコンクリートなどの建材に再利用する。
こちらの焼却灰は、重金属を含まないものの、熱量の問題で建材にするほどの質が無く、基本的には埋め立てで誤魔化している。
当たり前だが環境には悪く、あまり良くない行為だが、そうせざるを得ないのだ。
土壌がアルカリ性に偏らないように酸性の薬液を使わないといけないので、処分費用は結構掛かっていると思う。
ゴミを捨てるのもタダではない。
この世界でも、ゴミの処分は有料である。
江戸時代まで戻れば、灰は囲炉裏などで断熱材とかに使われていたし、火のついた炭にかぶせて「火は消えないが赤々とは燃えない」状態を作りだしたりとか、使い勝手の良いものらしいけどね。
ゴミ混じりと言うか、ゴミを焼いてできた灰だと、そこまで有効活用はできないようだ。
そもそも有用性の高い貴重品としての灰は、特定の木のみを焼いて作った灰である。1tから5㎏ぐらいしか入手できない、本物の貴重品だ。
それなら肥料として使えるし、建材にもなるんだけどな。
色々とごちゃまぜにしてから焼いた、ゴミの灰ではないのだ。
なんでこんな話をしているのかと言うと、署長さんがゴミ処理に困っていたようなので、それをこちらで処分するからだ。
処分場の準備が間に合わないタイミングで大量の灰を捨てる事になったから、とんでもない量の灰が積まれていたので、見るに見かねて助け舟を出したのである。
「本当に、大丈夫なんですか?」
「ええ。何度も持ち込む事はできませんが、年に1回ぐらい、この程度の量であれば大きな問題にはならないです」
実際はカードにしてしまうだけだから、どれだけ引き取ったところで問題はない。
ただ、それを言うと面倒くさい事になりそうなので、量と回数は制限させてもらう。
カードにした後の処分は……何か良い使い方は無いものかな?
成分別に分別できればカリウムやカルシウム、マグネシウムなんだけど。分別する方法も無いからなぁ。
カードの進化とかで、上手く抽出できないかな?
暇とか余力があれば、そちらも研究の候補にしてみるか。
当分、魔力の余裕は無いと思うけど。
どうでもいい事だけど、ごみの焼却灰と火山灰は別物だ。
同じ灰だからと言って同じ性質ではないので、同列には語れない。
灰にも色々とあるという話。