表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
556/729

22-8 ゴーレム研究の結論

 今度は魔導人形か。

 星の数は同じだけど、ドール、ゴーレムより上のモンスターになるのかな? 

 今度は意思のあるモンスターとして合成された。


 ただ、“人形”となっているだけあって、見た目は生き物では無く作り物である。

 肌の質感はゴブニュートの時と変わらないが、関節部分とかはいかにも機械で、鉄人形などと同じ。プラモデルのような形で可動域を確保しているが、生き物のそれでは無い。

 唯一、顔だけはゴブニュートの時と同じである。



「あー。話せるか?」

「はい。創様。無事に新たな存在へと生まれ変わったようです」


 元メイジは、ちゃんと記憶を継承していた。

 ゴブニュート・メイジの時から連続した存在であると、自分を認識している。

 もしかしたら違うのかもしれないが、そこは良い。



「今の種族はゴブニュートではなく、魔導人形と言うらしい。新しい身体はどうだ?」

「……まだ、よく分かりません。新しい身体は、まるで自分の身体と認識できず、どうにもふわふわしたような感じがします」


 こんな実験を行なった理由、ゴーレムに対する理解を深めるという部分に関しては、残念ながら今はまだ結果が出ないようだ。

 俺がその様に早とちりをしそうになったけれど。


「そう、借り物なんです。この身体は。

 ああ、だから……」

「どうした?」

「実体の無い精神生命体。そういう事なのかもしれません。血玉はその媒介?」


 元メイジは、何か答えを得たようだった。

 そこから聞き取りを行い、いくつかの推論を重ね、検証していった結果、新たな事実が判明した。





 まず、ゴーレムはドールからの進化となるのだが、その状態では『幽暗の大蛇の血玉』がまだ体内にある。

 それがゴーレムになってしまうと消滅するのだが、正しくは消滅したわけでは無く、血玉で精神生命体とでも言うべき実体を持たない形を作っているという。


 そもそも素材の元である幽暗の大蛇がそういった、物質的な肉体を持たないモンスターである。

 その血玉を使えば精神生命体を作れるのではないかと考えられた。


 ただ、魔導人形は、精神生命体として単独で動けるわけでは無く、物質である人形部分に紐付けされており、人形が完全に壊れれば死んでしまうような存在だ。

 ゴーレムも同じであり、器として肉体・人形を持っていないと駄目なのかもしれない。

 ドールはまだドール本体に魂が残っており、それを血玉から操っているからドールなのかも、という話になった。


 幽暗の大蛇が人や地面などある程度物質に干渉するかのようであることと、攻撃を透過するのは精神生命体だからではないか。

 出雲の調書に魔法も透過したとあったが、透過したのではなくぶち抜いただけで、ある程度はダメージを与えていたけれどダメージが軽微で見逃しただけではないか。

 かなり希望が混じっているが、もしも戦うのだとしても、勝ちに繋がる明るい材料が見えてきた。


 これらの推論は検証が不十分なので確定した情報では無いが、そこそこ確度は高いと思われる。





 では、そこから幽暗の大蛇のようなモンスターに対抗するにはどうすればいいのかというと。


 砲撃系ではない空間固定型の魔法で継続的にダメージを与える、ゴーレムのような同種の存在をぶつけるなど、いくつも対策を思い付く。

 前提条件の一つがはっきりしてきたので、やるべき事も具体性を帯びてきた。



 封印術?

 ……まぁ、状況次第かな?

 無駄とは言わないし、他に使い道があるかもしれないから、研究は継続かな。

 前よりは、重要性が薄れたけど。



 で、それと同時に、カードに頼らないゴーレムの自作は不可能であるという結論を出した。

 カードも無しに精神生命体を自作しろと言われても、出来るわけがない。

 作れるのは俺一人。

 量産計画は頓挫した。



 残念な部分もあるが、結果が出たのでゴーレムに関する研究はひとまず終わりだ。

 俺は次の研究に移るとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ