21-26 捕食封印
情報の共有とかが終わったので、これで出雲出張の、一連のゴタゴタには片が付いたと思う。
俺が出雲の国に行く事は当面無いので、あちらで俺のやった事の余波がどうなっているかなど、知る事も無いわけだし。
一つ、署長さんが行う抗議で接点があるけど、それだって大きな問題になることは無いだろう。
署長さんは個人名その他を出さないし、相手に聞かれたところで教えるはずが無いからだ。
謝罪するから云々かんぬんと言われようと、手紙で済ませろの一言で済むからね。
幽暗の大蛇の対策とかは、未だしっかりとしたものが定まっていない。
だけど今ぐらい、全部終わったと、気を抜いてみても良いだろう。
俺は家に帰ると、ふかふかのベッドにダイブして微睡むことにした。
「創様、ちょっといい?」
「ん? あー? 莉奈?」
「違うわ。凛音よ。この間調べてきた、封印術式の件で話があるの」
いつの間にか寝ていた俺だけど、部屋に凛音が入ってきて俺に話しかけてきた。
隠岐の島で教えてもらった封印術式の解析が終わったので、その報告に来たようだ。
「ある程度しか分からなかった。あとは、創様に任せる」
凛音は村で一番の魔法使いだが、だからと言ってあらゆる魔法に精通しているわけではなく、魔法関連でも分からない事は多い。
封印術式は術式が独特過ぎて理解できる部分が少なく、ほとんど何も分からないようなものだと凛音は言う。
「自分の体を贄にした封印術で、自分に相手を封印する、だと思う」
調べても現地で聞いた情報以上は分からず、あとは実際に使ってみない事には何とも言えない。
凛音は悔しそうに、手を上げた。
「使ってみたい」
「却下」
分からないままでいられないと、凛音は人体実験をすると言い出したけど、そんな事をさせる気は無い。
他に調べる方法はいくらでもあるのだ。
まずは、封印術式について書いた紙片をカード化。
魔法について書かれているけど魔導書の類にはならず、ただの記録用紙扱いだ。
リスクの無い結果に、俺はほっとする。
次に、この記録用紙をレベルアップさせ、『ゴブニュート・メイジ』と合成する。
予想では、この封印術式に詳しいメイジの派生職に就くはずだ。
『ゴブニュート・メイジ』 + 『封印術式の記録用紙』 = 『ゴブニュート・シーラー』
『ゴブニュート・シーラー』:モンスター:☆☆☆☆:小:10日
ゴブニュート・シーラーを1体召喚する。シーラーは封印魔法を専門とする、魔法職である。
現在使用可能なのは、『捕食封印魔法』のみである。
就いたんだけどね?
予想通り、なんだけどね?
『捕食封印魔法』ってなんだよ!?
最後の最後で、大きな爆弾が投下された。