21-5 ゴーレム②
雨による被害。
体温低下と足場の悪さをどうにかする。
体温に関しては、身体を温める種類の道具で対抗できると思う。
カイロとか、そういった機能を持つ道具なら簡単に作れるし。ベースは鉄粉と塩、木炭だっけ? 全部持っているね。
足場の方は、靴でも用意するか?
大狼たちに聞いてみたら、全員から「嫌だ」という反応が返ってきた。
騎乗用の鞍だって嫌がるのだし、そこはもう仕方がないね。
雨で大狼たちの体温が低下する件に関しては、動いていれば身体は多少は暖まるし、背中にしがみつく俺たちがカイロと衣服になれば良いので、あまり気にしなくてもいい。
俺たちの身体を温めるついでに、大狼たちの身体も温まる。これが一番効率が良いだろう。
「旦那様。ちょっと思い付いたのですが」
「夏鈴、何かな?」
「大狼のゴーレム、というのはどうでしょうか?」
後は足場だけだなと、そんな事を考えていたら、夏鈴からそんな提案があった。
確かに、ゴーレムなら体温低下とか、どうでもいい。足場の悪さをどうにかすべく靴を履かせても文句は言わない。
大狼たちだって雨の時に走るのは嫌だろうし、雨の時の事を任せられる代理がいれば、負担も減る。
俺は夏鈴の説明を聞き、「成程」と納得した。
そうだよな。ゴーレムというと人型ばかり思い付くけど、ゲームでもドラゴン型の石像ゴーレムとか、色々いたんだ。人型にこだわる理由も無い。
それなら、大狼をコピーして、ゴーレムにして。ついでに色々と強化も施せば完璧だ。
大狼 + ヒューマン・ゴーレム(魔晶石、スパイクシューズ、その他装備) → 強爪大狼・ゴーレム
『強爪大狼・ゴーレム』:モンスター:☆☆☆☆☆:中:1ヶ月
強爪大狼・ゴーレムを1体召喚する。ゴーレムは、魂無き命を持った存在である。
強爪大狼の素材を使用している為、見た目は強爪大狼と変わらない。
魔晶石により、動力を強化されている。通常稼働の時間は、60日。
かなり強化されたゴーレムが出来た。
身体が冷たいのはゴーレムのデフォルトなので、そこは諦める。
毛皮とかでモフモフなんだけど、体温が外気温依存なのは変わらないからね。熱源には自分自身がなるしかないだろう。
「ただ、問題はコストかな」
ベースになる大狼(☆3)とヒューマン・ゴーレム(☆4)の用意に時間がかかるし、稼働時間の延長用にと魔晶石(☆3)も2個使った。
ぶっちゃけ、量産には向いていない。人数分揃える事は出来ないだろう。
スタック出来るかどうかもまだ分からないし、出来なければカード利用枠としても重そうだ。
「では、すでにスタックされた、群れを使えば良いのでは?
魔晶石はそれに合せて用意した方が良いと思いますが」
「あ、そっちは出来ない。すでに試してあるよ」
なお、ゴーレムは単体のカードとしか合成できない。
俺も戦闘部隊系のカードと合成して数を稼ぐのを考えたけど、そういった合成増殖をする為のキーになるカードがなく、手詰まりである。
まぁ、多少の成果は出たから良いか。
雨の日はこのゴーレムで夏鈴と二人で行動すればいいだろう。